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吉兆

東日本大震災で被災した岩手県第三セクター三陸鉄道は8日、同県が舞台のNHK連続テレビ小説あまちゃん」放送から10年を記念し、主人公を描いたラッピング列車を報道陣に公開した。今月15日から10月1日まで、久慈駅久慈市)から盛駅(大船渡市)の間を土日限定で運行する。

列車は1両編成。ヒロイン役を演じた俳優、のんさんの海女姿や登場人物が、全面にイラストで描かれている。

久慈駅での出発式に参加したのんさんは「愛され続けているドラマだと実感し、胸が熱くなった。列車が沿岸を走ると思うとわくわくする」と笑顔で語った。

あまちゃんは平成25年4~9月に放送された。東京生まれのヒロインが母の故郷・岩手で海女修業をしながら、地元アイドルとして人々に元気を与える物語。登場人物が驚いたときなどに使う方言「じぇじぇじぇ」が流行語となったほか、東日本大震災に触れた場面も話題となった。

2023.4.8(土)産経ニュース

日曜日の朝、あまちゃん再放送の第一週分を一気見した。

もう能年玲奈が出てくるたびに涙が溢れてきてどうしようもない。

この世界の片隅にのときもそうだったが、余りに浄らかで美しいものに接するのが耐えられない。いつからこんなだらしのない体たらくになってしまったのか。

しかし、「あまちゃん」が脚本、音楽、キャスト、放送時期などすべての要素が見事に調和し融合した奇跡のドラマであることは疑いないにしても、この第一週の素晴らしさはとりわけ特筆に値する。

夏~春子~アキの母娘三代の葛藤の歴史が提示される中で、中心を担う春子(小泉今日子の存在感がドラマを支えている。第一週では春子の登場時間が一番多いのではないか?

春子の毒親性が際立つからこそ、その陰に怯えてきたアキの抑圧された姿が真に迫って来る。「地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もない」と春子からケチョンケチョンにけなされてきたアキは、北三陸で夏を囲む大人たちの中に居場所を見つけてゆく。

その過程は、地方から東京に出てきて芸能事務所の厳しい環境の中で居場所を見つけて藻掻いていた当時の能年玲奈の姿と奇妙にオーバーラップする。

この再放送を見ていると、虚実ない交ぜとなってあらゆるドラマが交錯する多次元ワールドに引きずり込まれて眩暈がしそうになる。

そんな中で、放送十年目に北三陸鉄道が記念運行し、久慈駅での出発式にのん(リアルアキ=能年玲奈が海女姿で出席するというエモさ全開のニュース。

夏ばっぱを演じる宮本信子の亡き夫・伊丹十三の親友・大江健三郎が亡くなったのと同じ時期にこの世を去った坂本龍一の元配偶者・矢野顕子がNYで「あまちゃん」再放送を見て「生きる楽しみが増えました」とツイートしたり、何だか神河町が遣わした芸能界のメシア・能年玲奈(のん)を中心にして天の織物が紡がれているような令和五年の春なのである(ほらエモくてキモくなった)。