INSTANT KARMA

We All Shine On

映画・ドラマ関係

二筋道

デコちゃん生誕百年記念の年ということで、公式の方ではやらない一面を掘っていくという性格の悪いブログ。 何度も書いている通り、高峰秀子は『綴り方教室』や『馬』の撮影を通して、黒澤明(当時は山本嘉次郎の撮影助手)と恋仲になった。 時にクロ30歳、…

Non Patient Lady

午前中は録画した映画『永遠の人』を見る。木下恵介監督の独自のセンスのフラメンコと、安部慎一の漫画の登場人物を思わせる仲代達也の眼と、高峰秀子の石のような女の演技に魅入られてラストまで目が離せなかった。 初夏のような陽気になった午後、息子と二…

樋口一葉・おそるべき高峰秀子

朝起きて天気も良かったので、近所の小さな映画館に、高峰秀子の出演作『樋口一葉』(監督・並木鏡太郎、昭和14年)を観に行ってみた。 サービスデーの水曜日で祝日だったこともあってか、空いてるだろうとタカをくくっていたのだが豈はからんや、切符売り場…

魅力ある日本文化の世界への発信について

アピチャッポン監督のVR作品が上映中だというのを知り、慌てて当日券を買おうとしたが売り切れ。購入のために(どうせ次に使うまでに忘れている)パスワードをまたひとつ登録させられただけで終わった。 まあ縁がなかったとしよう。 『ゴジラ-1.0』第96回ア…

Funny Wars

今日から公開になったゴダールの遺作『奇妙な戦争』を見てきた。 さすがゴダールで新宿武蔵野間スクリーン1の客席はほぼ埋まっていた。 パンフレットは不備が見つかったとのことで販売延期になっていた。 帰りにラピュタ阿佐ヶ谷で「高峰秀子 生誕100年記念…

未来派野郎

crea.bunshun.jp 湊 …今日のんさんがお話しされている様子を見ていて、ずっと誰かに似ていると思っていたんですけど、将棋の藤井聡太くんに似ているんだな、と今気づきました。私、藤井くんの対局を生で2回見せていただいたことがあるんですけど、勝手ながら…

A Stitch in Crime

ゆで卵を右手に持って現場に登場するコロンボ 今CSで『刑事コロンボ』シリーズを放映しているのを知って、録画を始めた。 コロンボ・シリーズがNHKで放映されていたのは1970年代で、リアルタイムで見ていた記憶はなく、むしろその後に民放で水曜ロードショ…

「ごくシンプルに、嫌」

以下ヤフーニュースより転載 (元記事が削除されるおそれがあるのでリンクは貼らない) 濱口竜介監督、ベネチア映画祭受賞会見でインボイス制度について問われ「ごくシンプルに、嫌」 ベネチア映画祭(イタリア)で審査員グランプリ(銀獅子賞)を受賞した「…

アニメ映画「君たちはどう生きるか」感想その2(ネタバレ全開妄想全開)

Father? Yes, son I want to kill you Mother I want to... from The Doors "The End” バルト9はシアター9の席が前の方までほぼ埋まっていた。映画館を埋め尽くした個々の観客がどういう感想を抱いたかは分からないが、個人的には素晴らしい映画体験だった…

映画「君たちはどう生きるか」感想

今話題の映画「君たちはどう生きるか」を見に行った。 前宣伝一切なしとの触れ込み(?)にも拘らず興行的にも成功しているようで、自分が見に行った回はほぼ満席だった。 事前に見聞したレビューからは、どんな失敗作を見せられるのかと思って逆に興味を持…

「宿る」ということについて

今日の「あまちゃん」再放送第91回は、神ドラマの中でも屈指の神回、「アキVSユイ」の超絶バトルの日だった。 この回を見て感動して10年前に書いたブログを読み返してみた。 wellwellwell.hatenablog.com 10年前も休日(海の日)の月曜日だったのを思い…

さかなのこ

大変遅ればせながら「日本映画専門チャンネル」でのん(能年玲奈)主演映画「さかなのこ」を見た。メンタルを病んで休職中の息子と一緒に見た。 能年玲奈はとても魅力的だった(自分は能年玲奈の魅力に憑りつかれているのでそれ以外の見方ができない)し、や…

河野美地子

昨日のブログに書いた女優・河野美地子についてちょっと調べてみたが、たいしたことはわからず。 1983年、県立別府鶴見丘高校在学中の18歳のとき東映の「第一回ミス映画村」に選ばれ、そのときのコメントには からだ全体で表現することが好きで、バレエを1…

あま

毎朝「あまちゃん」の再放送を見ていて、あまりに面白いので、当時買った「あま本」などを再びひっくり返すなどしている。 国会図書館デジタルで読める「映画情報」という雑誌のバックナンバーで、あまキャストの当時の記事などを眺めたりなどしている。 薬…

B.V.D (Black Valley Deco)

山本嘉次郎監督の下で助監督を務めていた黒澤明が子役スターでアイドルだった高峰秀子(デコ)と初めて仕事をしたのは彼女が16歳のときだった。 「綴方教室」というその作品の撮影で、デコが綴り方を書いてる時、手に蚊が止まるシーンがあった。黒澤が、絹…

昭和

この二日間は久しぶりに家で一人きり(正確にはウザ絡みしてくる猫一匹と)だったので、黒澤明、高峰秀子、倍賞千恵子、高倉健の世界に浸る。 尾形敏朗「完本 巨人と少年 黒澤明の女性たち 」(ワイズ出版映画文庫 18) ・・・主人公たちを励まし、意識を高…

Ten Years

今、毎朝BSで再放送されている「あまちゃん」を見るのが楽しみになっている。 当時と同じように笑って泣いて能年玲奈に驚くことができることに驚く。 十年後のアキ。 youtu.be 宮藤官九郎の脚本も、大友良英らの劇伴も、小泉今日子も、宮本信子も、橋本愛…

吉兆

東日本大震災で被災した岩手県の第三セクター三陸鉄道は8日、同県が舞台のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」放送から10年を記念し、主人公を描いたラッピング列車を報道陣に公開した。今月15日から10月1日まで、久慈駅(久慈市)から盛駅(大船渡…

エリエリ

青山真治一周忌として特別上映されている『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を見に行く。 中原昌也の演技を見ることが唯一の目的だったが、その他の役者陣も豪華すぎた。 轟音に備えて耳栓を用意しておいてよかった。 見終えた後はなぜか元気になって足取りも…

千代田区一番一号から四谷三丁目または新橋へのアンダーワールド

森達也「千代田区一番一号のラビリンス」(現代書館、2022)を読む。 発売直後に図書館で予約を入れたら、数十件の順番待ちになり、ようやく読めた。 題材の奇抜さもさることながら、内容もかなりぶっ飛んでいて、面白く読めた。 中島らも「ガタラの豚」の読…

Long Promised Road

「ベイビー・ブローカー」を見た日にもう一本見たのが「ブライアン・ウィルソン/約束の旅路」。 この映画(ドキュメンタリー)は見る前から絶対に外さない確信があった。 ポップ・ミュージック史における二大天才の一人(もう一人はビートルズの存命中のあ…

希望

「ミニシアター・エイド基金」の催しで、のん(能年玲奈)が濱口竜介監督、深田晃司監督とトークしたようだ。 このサイトにイベントで語られた内容や当日の様子が詳しくレポートされている。 日本映画業界の構造的問題、ミニシアターの重要性、日本映画業界…

Baby Broker

映画「ベイビー・ブローカー」を見た。 去年、映画製作の発表があった時点から関心はあり、カンヌで受賞というニュースを見てますます見たいという気がしていたので、やっと念願が叶ったかたち。 是枝監督のカンヌ受賞で話題になった割には日本では客入りが…

国会図書館革命

「本の雑誌」西村賢太追悼号の「北町貫多クロニクル」を見ながら、以前自分で作った時系列メモを修正する。手元にすべての本がないので、よく分からないところはそのままにする。 砂川文次「小隊」(文春文庫)を読了。三篇収録されているが、発表順に「市街…

波の音

入院して四日目の夜、看護婦たちが用があり、私だけが父の枕元に立っている短い時間があった。父が私の顔に目を向けていた。不意に突きあがるような思いが胸に来て、私は父の頬に顔を寄せると、“父が好きだ”と言った。”好きでたまらないのだ”と言った。たま…

暴力と選択

園子温監督の過去の行状が今になって告発の対象になっている。 園監督だけでなくこのところ映画業界における性被害の実態を明らかにする動きが目立っていて、日本版metoo運動が本格的に始まったのかとも思わせる。 「業界では前から有名だった」とか「知って…

当事者性とリアリティ…

どうせ誰も読んでいないブログだから何の気遣いもなく好き放題書いてしまうのだが、「ドライブ・マイ・カー」の韓国手話のシーンが批判を食らってるという。 批判の内容を乱暴にまとめると: 実際に手話を使う立場から見て、手話が消費されていると感じた。…

third time's the charm

「三度目の、正直」という映画を見てきた。 「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞(国際長編作品賞)を受賞して現在話題沸騰中の濱口竜介監督による2015年の作品「ハッピー・アワー」の共同脚本を担当した、野原位監督の劇場デビュー作。 「ハッピーアワ…

Memoria

アピチャッポン・ウィーラセタクンの新作映画「メモリア」をヒューマントラストシネマ渋谷で見た。 南米コロンビアを舞台に英語とスペイン語が飛び交うが、映画の印象はこれまでのアピチャッポン映画そのもの。必要最小限の登場人物と必要最小限のカット数。…

Tales of Moonlight and Rain

溝口健二監督『雨月物語』(1953)をAmazonプライムで見た。 今更シネフィルを気取るつもりもないが、勉強のために。 考えてみれば、まだ溝口や成瀬の代表作をほとんど見ていない、ということは、これから見る楽しみがあるということで、とても贅沢なことか…