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第8期叡王戦第4局

本日行われた第8期叡王戦五番勝負第4局藤井叡王VS菅井八段の対局は、午前中に千日手となり、二回目の対局も千日手となって、同日の午後7時15分から二回目の指し直し局(本日三回目の対局)が行われた。

実家から脚付きの将棋盤を持ってきたので盤に並べて指し手を追っているのだが、ちょっとの時間も盤の前にじっと座っていられない。

正座などもってのほかで、胡坐でも、ものの十分も座っていると体がしんどくなってくる。つくづく体力のないことを実感するとともに、プロ棋士たちの体力にほとほと感心する。益々尊敬の念が高まる。

江戸時代の御前将棋では喀血しながら対局し敗者が血を吐いて死んだという話があるほどの死闘が演じられていたが、現代将棋もハードさでは決して負けていない。

とりわけ、両対局者の横でずっと見守っている記録係の仕事は過酷である。タイトル戦を間近で見るのは得難い経験であるとはいえ、ひたすら対局の記録を取り離席も許されない厳しさから近年では引き受ける者も減っていると言われており、今期の名人戦からは二人の交代制も導入された。

三局目となった指し直し局では、中盤の飛車交換から藤井叡王が一気に、相手の端攻めを逆用する驚愕の手順であっという間に菅井玉を詰ませてしまった。千日手局を通して闘争心を剥き出しにしてきた菅井八段も途中からは呆然としているように見えた。

全ての対局を三間飛車で戦い、この勝負に己の全てを賭けて臨んだ挑戦者の菅井八段の気魄には鬼気迫るものがあり、敗れた後の無念そうな泣き顔は、見ていて辛くなるほどだった。精も根も尽き果てた激闘を演じた後、大盤解説のファンの前に姿を見せた両対局者の姿に、感謝とか尊敬という言葉では表せない思いを抱かざるを得なかった。

藤井叡王はこれで防衛を決めたが、早くも5月31日には名人戦第5局という重要な対局がある。6月5日はベトナム棋聖戦の防衛戦もあり、いくら若くて体力があると言っても心配になってしまうが、藤井聡太なら涼しい顔で成し遂げてしまうのではないかと思わせるだけのものがある。