INSTANT KARMA

We All Shine On

今週の将棋界

史上最年少名人&七冠という偉業達成で藤井聡太を中心に回らざるを得ない現在の日本将棋界である。

今週は藤井の対局が二局あり、どちらも手に汗握る大熱戦であった。

6月20日に行われた王座戦挑戦者決定トーナメントでは村田顕弘六段と対決。

棋士人生を賭けて戦う」と事前インタビューで答えた村田は有言実行で自らが考案した「新村田システム」を用いて終盤まで有利を保ち、藤井を追いつめた。

しかし負けの局面になってから藤井の勝負手が炸裂。土壇場で勝負をひっくり返した。

ここで負けていれば王座挑戦の目がなくなり、今年の八冠達成は不可能になっていたことから、この勝利は大きかった。

続いて6月23日には淡路島で棋聖戦第二局。

これも終盤逆転に次ぐ逆転の末、最終的に深浦九段の弟子、佐々木大地七段が勝利を得た。

wellwellwell.hatenablog.com

村田戦とは違い、棋聖戦は五番勝負なのでまだ防衛の可能性は十分残されている(一勝一敗で残り三番勝負となる)。

両方とも負けてもおかしくなかった将棋のうち、負けてもいい方を落としたというところに藤井の棋士としての強運を感じる。

藤井の実力がプロ間でも頭一つ抜けているのは事実だが、今週の二局を見ても分かる通り、決して楽な勝負をしているわけではない。むしろ研究時間が豊富な相手に中盤までは不利になる局面が多い気がする。若手が猛追しており、急速に実力を挙げている感がある。こうなってこそ面白い。

まだまだ盛り上がる将棋界にとってのもう一つの朗報は、ついに日本将棋連盟羽生善治会長が誕生したことであろう。

前任者の佐藤康光九段は困難な時期に立派に会長の重責を果たした。満を持しての羽生へのバトンタッチである。

棋界随一のアイデアマンでもある羽生会長が、どんなサプライズをもたらしてくれるのか、大いに期待したい。

そして早速、羽生会長と藤井七冠が王座戦挑戦を賭けた大一番(挑戦者決定トーナメント準決勝)が今月28日(水)に行われる。

大注目の一戦である。