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This Is It 雑感その4

最近はすっかりマイケルFANのブログと化しているが(浮気性なものでスミマセン),今月もマイケルに関する書籍が復刊したり再発したりで,しばらくブームは去りそうにない。

下にいくつか試訳してみたエッセイでもわかるとおり,マイケルは非常にスピリチュアルな世界に造詣が深い。そういった書籍も読み込んでいたのだろうし,ヨガや瞑想なども取り入れていたに違いないと思う。

ちなみに,“This Is It”というタイトルは,意識的か偶然かわからないが,アラン・ワッツという,1960年代に禅や仏教思想を西洋にもたらした,ヒッピー哲学の草分けといってよい学者に同名の著書がある。

世俗的なゴシップやスキャンダルに塗れ,悪意ある捜査当局によって無実の罪で刑事裁判まで受けることになったマイケルだが,そうした人生の辛酸を舐め尽した彼だからこそ見える世界があったのかもしれない。むしろ,宗教的・精神的な支えがなければ正気を保つことは不可能だっただろう。

彼の場合,子どものころから熱心なエホバの証人の信者だったという背景はあるにせよ,成人してからは,宗教的といっても,何か一つの教義に固執するというのではない,本当の意味でのスピリチュアルな考えを抱いていた。

無垢(イノセンス)というものを信じていた人であり,心に抱き続けていた人であったし,彼にとって「子ども」はその象徴だったのだろう。彼が幼児虐待の罪で告発されたというのはあまりにも悲劇的な事実としか言いようがない。

当時に,マイケルは非常に知的で,強固な意志を持つ人間でもあった。

自伝「ムーンウォーク」を読めば,彼がいかに自己や周囲の状況を客観的に見つめることのできる有能な人間だったかがよくわかる。

邦訳が出たら,原文と照らし合わせて,誤訳をチェックする作業を今からを楽しみにしている。