INSTANT KARMA

We All Shine On

川の底からこんにちは(2)

※今回はネタバレなので未見の人はご注意を

 

前回、映画としては70点と書いたけれど、監督はまだ若いというので、今後の「のびしろ」があるという意味で受け取ってほしい。

着眼点とかストーリーの流れ、キャスティング、オフビートっぽいセリフのやり取りなど、全体的には好印象。途中何度も笑わされたし、泣かされた。

でも個人的に違和感を感じたのは主に2点。

一つはシジミ工場の再建の過程のリアリティのなさ。
社歌をつくったのはよいとして、あとの展開を省き過ぎ。
売上ほぼ倍増(2倍弱)、でも今後はどうなるか分からない、というところで許容範囲? というのはちょっと厳しい。
もう一つは、ダメ夫の連れ子(娘)の扱い方。大人に都合のよい目線で描いた子ども、という表現に収まってしまっている。子どもというのはもっと複雑だし、やかましいし、忙しないし、感性豊かだ。表情に乏しすぎる。もちろん演じた子の問題ではなくて、演出のせいなのだが。
このへんの描写が薄っぺらなために、作品としては深みを欠いたものに終わってしまっているような気がする。
監督は、満島ひかりインパクトが強すぎるので彼女を主演にしたくなかった、と言ったらしいが、逆に満島でなかったら目も当てられない作品になった可能性もある。この作品に限っては、彼女が主演で正解だろう。