園子温監督といえば『愛のむきだし』という傑作の次回作、周囲の評判も上々、ということで期待して見に行ったのだが、
正直、最後まで見るのが苦痛だった。
観客を選ぶ映画、ということなら、自分は確実に選ばれていないな。
(以下ネタバレあり)
『愛のむきだし』でも宗教性の象徴のように使われていたマリア像が今回も随所に出てきたが、村田の異常性との結びつきが結局よくわからない。今回は監督の宗教理解に薄っぺらさを感じた。
村田が死ぬ前に、父親からのDVを仄めかすようなうわごとを口にするが、それが村田の人物描写に深みをもたらすというより後味の悪さだけを残す演出だと感じた(それが狙いと言われればそれまでだが)。
村田の女の狂いっぷりにリアリティを感じない。いかにもつくりものの登場人物。
エログロの使い方があざと過ぎて露悪的。
俳優・女優の使い方は相変わらず上手い。それだけに、なぜだか役者陣が不憫に感じた。
でんでんは、村田のハマリっぷりが凄かっただけに、これから何を演じるのを見てもなんとなく背筋が薄ら寒くなるような気がする。
見た後でこんなに後悔した映画は『シャッター』以来です。