INSTANT KARMA

We All Shine On

ブルース・スプリングスティーン

このところ、村上春樹レイモンド・カーヴァーブルース・スプリングスティーンという流れで、高校生時代に回帰したような本や音楽を愛好している。

ブルース・スプリングスティーンといえば、デイヴ・マーシュというアメリカの音楽評論家の書いた伝記『明日なき暴走』が高校時代のバイブルだった。

これでアメリカのロックンロールの意味を学んだ。内容はもう覚えていないが、実家にはまだあるはずなので、久しぶりに読み返したい本のひとつだ。

一時期、ブルース・スプリングスティーンのアルバムを全部そろえたが、いくつかを残して中古屋に売ってしまったのが悔やまれる(特に、3枚組ライブ盤をなぜ手元に残さなかったのか理解できない)。ある時期に、それまで持っていたCDを大量に売ったときがあって、レッド・ツェッペリンのアルバムも全部持っていたのに売ってしまい手元にない。なんでそんなトチ狂った事をしたのか自分でも分からない。それ以来、中古屋にCDを売ることには慎重になっている。

その時期に、1枚だけ買わなかったブルース・スプリングスティーンのアルバムが、『ネブラスカ』だった。地味すぎたのだろう。それでも、名曲ぞろいなのは認めざるを得なかった。

レイモンド・カーヴァーの小説を読んでいると、頭の中にブルース・スプリングスティーンの曲が浮かんできて仕方がない。

中でも一番ぴったりくるのが『ネブラスカ』のアルバムだ。

レイモンド・カーヴァーブルース・スプリングスティーンの共通点については村上春樹が『意味がなければスイングはない』という本の中の一章で見事に語っている。

レイモンド・カーヴァーに限らず、アメリカの小説には独特の味わいがある。ハードボイルドというか、抒情性が日本人なんかとは明確に違うのだが、それでもグッとくるものがある。

やっぱりうまく言葉にできないなあ。とにかく読んでみるしかないのだ。

一番短くて一番好きな小説は、レイ・ブラッドベリの「わかれ」(I see you never)という超短編だ。いくつかの翻訳があるが、自分が読んだのは、講談社文庫の世界ショートショート全集に所収のものだ。一度読んだら、一生忘れないくらいの名品である。

この作品の持つ抒情性はアメリカ的精神の最良の表現のひとつだと思う。