INSTANT KARMA

We All Shine On

西棟午前六時半

玉置浩二は、山下達郎によれば「日本で最も過小評価されているミュージシャン」らしい。

僕は「安全地帯」のことは「ワインレッドの心」を聞いたことがある位で、玉置浩二のソロ活動については何も知らなかった。

最近、ふとしたきっかけで彼が1993年に発表したソロアルバム『カリント工場の煙突の上に』という作品を聞いて、いいと思った。

素直にいい曲が揃っている。中でも『西棟午前六時半』という曲は出色だ。

こんなに繊細で美しい曲が書ける人だとは知らなかった。

彼はほんの短い間、精神科の病院に入院していたことがあって、その時の体験がベースになっている。

寄り添うように歌っている女性の声は、当時妻であった薬師丸ひろ子

西棟午前六時半

作詞作曲 玉置浩二

 

「グーテンモーガン」(おはよう) ゲンさんがつぶやく

トタン屋根の上で スズメたちの合唱

元気なかけ声で ラジオ体操始まる

露に濡れた 朝顔と話すマモル はしゃいでる

 

洗面器 はじける太陽

いつかあの海へ

舟を漕ぎ出そう

舟を いいね きっと

 

アルマイトの食器に ロールパンふたつ

そして赤や黄色の 山盛りの錠剤

おたまじゃくしの行軍 駐車場の水たまり

想い出の丘には猫を追いかける 裸足の友達が遊んでる

 

西棟午前六時半

いつまでここに いるのだろうか

欠けた心のまま

欠けた体のまま

それでも 楽しそうに笑う朝

 

西棟午前六時半

洗面器 はじける太陽

いつかあの海へ

舟を漕ぎ出そう

いつか だから もっと