INSTANT KARMA

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波の音が消えるまで

アーニャ、ぼくが百フランを要求しているのを、狂気の沙汰だとは考えないでおくれ。ぼくはきちがいじゃない! 悪徳漢とも思わないでおくれ。ぼくは卑劣なまねはしないし、嘘もつかない。カジノにも出かけない。ぼくはただ物事をはっきりさせるために、こうして書いているのだ。

ドストエフスキーの妻アンナへの手紙、1868年4月4日土曜日)

 

波の音が消えるまで(沢木耕太郎、新潮社、2014年)

 

以下の文章(書評?)は、ネットから適当に匿名の感想を拾ってきてつなげたもので、私個人の感想とはあまり関係ありませんことを予め断っておく。ネタバレありますので。まいど。

 

 

う〜ん。上巻を読んだとき、これは現代の麻雀放浪記だと思ったんだが。下巻は・・・つまらなくはないが。まあ考えてみればバカラの必勝法を探すというテーマから物語をどこまで拡げられるのか、大いに疑問である。あるわけないし、そこから深い哲学的思索が生まれるとも思えない。麻雀放浪記は徹底的に生に執着し、他人の生き血を吸ってでも生きようとする修羅を描くことで見事な博打小説になり得ていたけど。この主人公は、お金に執着している訳でもないしなあ。

 

ところで沢木耕太郎村上春樹は同一人物である、という面妖な仮説を立てている。この小説も一人称主人公、「僕」は、やはり村上の書く多くの「僕」に似ている部分も多々ある。何しろ28歳くらいだし、教養はあまり無さそうだが、全然がっつかないのに、超モテる。キザったらしいのだがそれが嫌味にならない不思議な人格。でもやっぱりキザッタらしい。

 

まあこの作品、小説として見た場合には、率直に言って物足りない。主にダメな理由は、主人公が1.モテすぎ 2.カッコつけすぎ 3.清潔ぶりすぎ。バカラのホテルに連泊していたらそこの受付嬢に惚れられて、日本に戻ってから一緒に住もうとまで誘われて(でも主人公はキザッタらしく彼女を振って再びマカオへと旅立つのであった・・・)、その彼女が、無一文になって破滅した主人公を最後の最後に救いに来る白馬の王子様ならぬお姫様で、チャンチャン。ですか。ラストまで読んで、あまりに拍子抜けして、「あ〜あ、何の因果かで生まれちゃったんだよな、こんな国に」なんて思わず大声でぼやいてしまったよ。

 

沢木耕太郎の平板で対象との距離感のあるクールな文体は、ノンフィクションでこそ生きるもので、小説向きではないだろうどう考えても。小説を書くなら文体を変えるべきだったんだろうけど、そもそもそんなことは無理だし、本人には小説を書こうというよりも、なんか物語になりそうなプロットができたから好きに想像と実体験を織り交ぜて書いてみました、ってノリだったのかもね。途中でマカオのヤクザにボコボコにされて寝たきりになって、全身が傷んで便秘になったとかのくだりは、沢木本人が飛行機事故に遭って負傷したときの体験そのまんまだろうし。それにつけても文章平板、人物平板、濡れ場平板なのは否めなく、どっかのサイトでドストエフスキー『賭博者』に匹敵する傑作とか書いてあるのを目にしたときには目の前が真っ暗になって銀河を渡りそうになった。

 

一説によると沢木さんこれを原作にして高倉健に映画出演のオファーするつもりもあったみたいなことをどこかで読んだ気がするが、それは実現しなくてよかったような気が・・・

 

沢木がこの物語を書いたのはバカラのことが書きたかったからで、その他のことは付け足しにすぎないことは読んでいて明白だ。出目表(罫線)とはバカラの記録表のことをいうが、ギャンブルの波というものが存在し、罫線を見るとその波が分かるという。ギャンブルの波を上手に利用して賭け続けると 不思議と勝ち続けることができるらしい。これがバカラの楽しさであり、のめり込んでいく人が後を絶たない秘密。

 

「ツラ追い」は、連勝している方に賭け続けるやり方のこと。連勝するときは 5回、7回・・・・ 多いときは12回、13回、14回・・・・ ものすごく多いときは20回以上連勝するときがある。 このような<波>が来ているときは 連勝している方に賭け続けると勝ち続けることができる。「テレコ」は、【プレイヤー】【バンカー】が交互に勝ち続けていることで、この流れが来ているときには、交互に勝つように賭け続ける。「ニコイチ」は、プレイヤー、プレイヤー、バンカーといった2つ、1つと交互に勝っている形であり、「階段」は、バンカー、プレイヤー、プレイヤー、バンカー、バンカー、バンカーといったように階段状になったもの。バカラでは様々なギャンブルの波が発生するので、ギャンブルの波の法則を見つけると勝ちやすくなりバカラがより楽しくなる。

 

ギャンブルの波が発生しない場合もある。そのようなときは「違うバカラ台に移動する」ことをオススメする。オンラインカジノの場合は周りを気にせず、ゲームを中断することができるので、 違う部屋で良い出目表を気軽に探すことができるからだ。