INSTANT KARMA

We All Shine On

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秒速5センチメートル新海誠の才能はすごい、と思ったのだが、これは僕的にはアウト。 いくら興行成績500億行こうと1000万人動員しようと駄目なものはダメ。

もちろん「僕的には」なので、感動している人たちにケチをつけるつもりは毛頭ない。 すでにいろいろな人が指摘しているように、物語上の明らかな矛盾やご都合主義的すぎる描写がノイズになって映画の世界に入っていけなかった、という点はもちろんあるのだが、それだけではなく、この映画には致命的な欠陥があるように思った。 いや、正確には、欠陥というよりも、意図的な悪意とでも呼ぶべきものだ。それが自分にはどうしても受け入れられなかった。

要するに、この映画の制作者は、観客を舐めてかかっているのだ、と感じた。 どんなに雑でご都合主義的で矛盾だらけの物語でも、綺麗な作画と雰囲気で盛り上げれば馬鹿な観客は煙に巻けるだろう、という傲慢さ。 丁度この映画が放送されていた裏番組で、たけしの番組に安倍総理が出演していたが、それと同じようなあざとさ、「どうせ国民なんてバカなんだからテレビや広告宣伝で適当に印象操作してればなんとかなる」という驕りのようなものを感じた。 そして事実、そういうやり方に乗せられて世の中は動いてしまっている。 新年早々苦々しい思いに囚われた。