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聖骨

小島信夫の『暮坂』収録の短編「聖骨」などの中に、整体治療のようなことをやっている新興宗教のような団体Zとその指導者であるZ師のことが出てくるが、今はネット社会なのでちょっとキーワードをかけて検索すれば、それがMRT治良というものであることなどが分かる。この小説が書かれたのは1993年頃だが、今でも活発な活動は続いているようである。

別にだからどうということもないのだが、この頃の小島信夫は、家庭問題に悩む妻と一緒に別の宗教団体の集会にも出席していて、「湖の中の小さな島」などの短編にその様子が出て来る。普通隠しておきたくなるような事実だと思うが、こういうことをあけすけに書けるというのもさすがという気がする。

彼に比べれば、大江健三郎や他の作家は、かなりのことを隠していると思う。

しかし考えれてみればむしろそっちのほうが正常であり、自分の考えや生活について小島信夫のように明け透けに書けてしまうというのは、ちょっと頭のネジが飛んでいるのでは、と思われても仕方のないレベルである。

つまり小島信夫を読み過ぎると色々な意味で正常性を失う恐れがあるので決しておすすめしません。