War Is Over

 if you want it

吉田でGO

吉田豪の本が読みたくなり、プロレスには1ミリの興味もないのに吉田豪の“最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集』白夜書房、2017年)を図書館で借りた。たまたま週刊プロレスがリサイクル本のコーナーに廃棄本として大量に積まれていたので、女子レスラーが表紙のやつ(2021年12月29日号と2022年3月2日号)を貰っていった。

吉田豪の師匠ということでリリー・フランキーの本も読んでみようと思い、あの有名な『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』も借りてみた。

 

吉田豪はライターであり取材者であり、取材対象となるゲストを料理する立場であり、ゲストを主役とすれば脇役の立場を選んだ人である。だが彼自身が非常に興味深い人物であることは彼を知る人なら皆知っている。

彼のユニークさは、独特のバランス感覚にある。芸能人やプロレスラー、ミュージシャン、アイドル、漫画家など非常に個性的で灰汁の強い人々を取材対象としながら、決して対象に取り込まれることがない。政治的にも文化人的にも振舞える立場にありながら、そのどちらからも絶妙に距離を取っている。

そして真の姿を明かさない。自分自身については最小限度のことしか語らない。彼がどんな女性と付き合っているのかについての情報は決して出てこないし(それゆえに、新宿二丁目に居住していることとも相まって”そういう噂”もあるほどだ)、個人的な嗜好性を露わにすることもない(アイドルのことはあくまでも”アイドルとして面白いかどうか”、という基準で評価している)。

かといって閉鎖的で秘密主義というわけでもなく、彼ほどオープンな態度で活動している人も珍しい。ネットには無料有料含め彼の発信するコンテンツが溢れているし、自宅にアイドルやアーチストを読んで公開放送したり、さまざまな媒体で時事ネタやスキャンダルについて自在に持論を展開している。

小学校の頃はアニメオタクで、中二の頃からヤンキー文化に染まり始め、姉の影響でパンクやメタル、ニューウェイブなどの音楽にハマり、好きなバンドの影響で菜食主義者になったという。

好きなことを仕事にする、というポリシーで生きるサブカルの人は四十歳くらいでメンタルがやられる、という傾向を敏感に察知した彼は、リサーチも兼ねてさまざまなサブカル文化人にインタビューし、サブカル・スーパースター鬱伝という著書も出した。その成果かどうか分からないが、彼自身は52歳の今も強いメンタルの危機を迎えているようには見えない。

彼は自分と同い年なのでそういうシンパシーもあるのだが、どうもこの世代の人間というのは、批評的、バイプレイヤー的立ち位置が似合う人間が多いような気がしていて、その代表が吉田豪のような人ではないかと思っている。