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ひつまぶし考察

ジャニー喜多川の性加害についての描写が含まれますのでそういうのが不快な方は読まないで下さい

 

ジャニーズ事務所の「人類史上最大」の性加害事件については、主に4つの観点から考察することが必要だ。

1.ジャニー喜多川の個人的要因(ペドフィリア、洗脳技術)

2.ジャニーズ事務所の組織的要因

3.メディアを含む社会的要因

4.警察・捜査機関を含む政治的要因

このうち、先日の再発防止委員会による報告書では1,2、及び軽く3までは言及されているが、4の点については触れられていない。

そこで、ここでは4の政治的要因について考察してみる。

その前置きとして、1~3についても軽く触れる。

1(個人)ジャニー喜多川は非常に巧みなやり方で計画的に少年たちへの性加害を行ってきた。年齢は小学生から中学生、家庭環境は片親(母子家庭)の少年を主なターゲットにし、アメ(芸能界デビュー)とムチ(性加害)を使い分けることで被害児童からも被害者の親からも被害の声を上げにくくさせていた。その他喜多川が用いた特殊なグルーミングや洗脳支配の手法(盗聴器の設置や内部通報の奨励等も含む)については未だ明らかになっていない部分が多い。

2(組織)それでも上がる被害の告発に対しては徹底して潰すか無視するという組織的対応を取った。ジャニーズ事務所においてメリー喜多川白波瀬傑が犯罪隠蔽の役割を受け持った(この点、再発防止委員会の報告書では白波瀬を免罪しており不十分である)。

3(社会)メディアは各テレビ局等に配置された「ジャニ担」と呼ばれる事務所側の意を汲んだ人間を通じてコントロールされ、ジャニー喜多川の性加害はタブー視され、それに関するあらゆる追及が阻止された。この構造的な犯罪隠蔽体制についても未だ十分に検証されたとは言えない

4(政治)ジャニー喜多川は米国で出生し、83歳で米国籍を離脱するまでは日本と米国の二重国籍を有していた。20歳で朝鮮戦争に従軍するため米軍に徴兵され、以来日本に帰国してからも米国の工作員として活動していた。「在日軍事援助顧問団」(MAAGJ)で勤務中は外交官特権を有し、日本での刑事・民事・行政裁判権から免除される立場にあった。つまり日本の警察はジャニーの犯罪をたとえ把握していても捜査できなかった。ジャニーの外交官特権がMAAGJの退職により自動的に消滅したのかは明らかではない。

このことに加え、喜多川家は元々日本の政治的有力者たちと深いつながりを持っていた。ジャニー(擴)の父親で真言宗の僧侶だった喜多川諦道の師にあたる重松寛松は、大隈重信後藤新平らの世俗的権力者たちと深い付き合いのある僧であった。

太平洋戦争中にジャニーとメリーが疎開した和歌山の南紀勝浦温泉は、地元の有力者大谷家が所有していた。この家の息子大谷貴義は、児玉誉士夫らと並ぶ「戦後最大級のフィクサー」と称された人物である。

大谷が保有していた肩書きは、主なものだけでも「裏千家最高顧問」「そごう最高顧問」「松下電器産業特別客員」「産経新聞社顧問」「毎日新聞社筆頭社友」「大阪産業大学名誉総長」などがある。また、マスコミからは、「最後のフィクサー」「闇の帝王」「日本の宝石王」「代々木の怪富豪」「日本の政財界の裏側で最も気になる人物」などと呼ばれた。(Wikipediaより)

大谷家と喜多川家の関係というのが本当の所一体どんなものであったのかは未だ何ら検証されていないにせよ、ジャニー喜多川の背後にこうした人脈があったことは無視すべきでない事実であろう。

2000年4月13日自民党議員阪上善秀衆議院児童虐待問題を取り上げた際にも、捜査機関の動きは一切なかった。

○阪上委員 次に、最も深刻な問題であるジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います。
 報道によれば、ジャニー喜多川社長は、少年たちを自宅やコンサート先のホテルに招いて、いかがわしい行為を繰り返しておるという内容のものであります。なぜ少年たちがこんな行為に耐え忍んでいるかといえば、ジャニー喜多川社長に逆らうと、テレビやコンサートで目立たない場所に立たされたり、デビューに差し支えるからというのであります。
 私は独自の調査で、ジャニーズ事務所に所属していたことのある少年の母親の手紙を手に入れました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきます
 うちの現在高校二年生の息子も、中三の冬にオーディションに合格し、約一年間ジャニーズジュニアをしていましたが、事務所からのコンタクトがなくなり、自然にやめたような形になりました。ずっと後になって息子から聞いたのは、オーディションに受かってから初めてレッスンに行ったとき、先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられたそうであります。息子はジャニーさんの好みでなかったらしく一度も誘われなかったので、清い体でやめることができましたが、何人かはこの行為を受け、お金をもらっていたそうであります。今テレビでにこにこして踊っているジュニアたちは、陰ではそんなつらい思いをしておるかと思うとかわいそうです。
 こういう内容であります。こういうことが事務所でまかり通っているわけであります
 ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。

○真野政府参考人 児童虐待の定義でございますが、先ほど来御説明をいたしておりますように、私ども、平成十一年三月に作成をいたしました「子ども虐待対応の手引き」において私どもなりの虐待の定義をいたしておりまして、この手引によりましては、親または親にかわる保護者などによって行われる身体的虐待、性的虐待心理的虐待、ネグレクトを虐待というふうに規定をいたしております。
 今御指摘の件は、性的な行為を強要した人物がこの手引に言います親または親にかわる保護者などに該当するわけではございませんので、私ども、手引で言うところの児童虐待には当たらないというふうに考えております

○阪上委員 その判断はおかしいと思いますね。地方から単独で東京の事務所に出てきて預かってもらっておる人が、なぜ親がわり、親権者がわりにならないのか、私は大いに疑問であります。
 ジャニー喜多川氏の行為は法的に問題があると私は考えます。児童福祉法第三十四条第六号は、児童保護のための禁止行為として挙げておりますが、ジャニー喜多川氏の報道された行為が事実とすればこの法律に違反しているのではないかと思いますが、いかがですか。

 

○真野政府参考人 児童福祉法の三十四条では、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」ということから、児童福祉を著しく害する行為を定めましてこれを法律上禁止いたしておりまして、同条の第六号には「児童に淫行をさせる行為」が規定をされておりまして、「淫行」とは、判例によれば、性交そのもののほか性交類似行為を含むというふうにされております。また、「淫行をさせる行為」とは、児童に淫行を強要する行為のみならず、児童に対し直接であると間接であるとを、また物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を行使して児童が淫行することに原因を与えまたはこれを助長する行為を包含するという判例もございます。
 御指摘の個別事案につきまして、それを判断するための情報がございませんが、一般論といたしましては、児童に対しまして今申し上げたような性交類似行為をするということは、児童福祉法三十四条の六号に違反しているというふうに考えられると思います

○阪上委員 厚生省の今の答弁のように、事実を把握しておりながら実行しないというところが、私は、青少年、あこがれのスターを夢見る子供たちをみすみす犠牲に追いやっているものと思います
 報道によれば、ジャニー喜多川氏はセクハラを行った後に、数万円の金銭を少年たちに与えておりますが、東京都や大阪府などで定められた青少年健全育成条例では買春処罰規定があります。例えば東京の場合、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行なってはならない」とあります。この規定に抵触するのではありませんか。
 なぜか大阪と東京の場合では違いがあるそうでございますが、その差についても御答弁をお願いいたします。

○黒澤政府参考人 個別具体的な事案の捜査にかかわりますことにつきましては答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、犯罪があると思料されます場合には捜査を行いまして、違法行為があれば、法と証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。
 なお、東京都青少年の健全な育成に関する条例第十八条の二に規定する「職務、役務その他財産上の利益」につきましては、次のように解されていると承知をいたしております。「職務」とは雇用または仕事のことでございまして、「役務」とはサービスのことであります。また、「その他財産上の利益」とは、債務免除等、財物ではないが金銭的に評価できる財産上の利益でございます。したがいまして、仕事上の利益がここで言う職務等に当たるか否かにつきましては、具体的な事案の内容に基づき判断されるものと考えております。
 それから、健全育成条例につきましては、淫行、わいせつ行為、いろいろな規定の仕方がございますけれども、東京都の条例では、金銭等を対償として供与し、供与することを約束する、こういったことが必要でございますが、県の条例によってはこういった要件のないところとか、都道府県によりましてそれぞれ差異がございます。

○阪上委員 これはやはり全国的な、統一なものを私はつくっていく必要があるのではないかと思っております。
 ここで忘れないうちにお聞きしておきたいのですが、ジャニーズ事務所に対して警察庁も厳重注意を勧告されたと聞いておりますが、それはいつのことであったのですか

○黒澤政府参考人 済みません。ちょっと御質問の御趣旨は……。

○富田委員長 ジャニーズ事務所に厳重注意をされたと聞いているがと。


○黒澤政府参考人 そのように対応いたしております

○阪上委員 私の質問が終わるまでで結構ですから、きのう打ち合わせに来られた方にお話の中で、ジャニーズ事務所にいつ厳重注意を勧告されたかという日にちをお聞かせください。
 金銭だけでなく、少年たちに仕事上の不利益があると考えさせることも違反に該当するのではありませんか、御答弁をお伺いいたします。

○黒澤政府参考人 厳重注意、始末書をとった日時、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが、間違いなく厳重注意、始末書処分をいたしておるところでございます
 それから、先ほども申し上げましたが、仕事として出させない、こういったことが条例に違反するかどうかにつきましては、個々具体的な事案に応じて判断されるわけでございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、仕事上の不利益が条例で言うところの職務等に当たるのか否か、それは具体的な事案の当てはめの問題でございまして、具体的な事案の内容に基づきまして判断されるものと考えております。

○阪上委員 次に、冒頭で申し上げました児童買春、児童ポルノ禁止法には抵触しませんか、お伺いをいたします。

○黒澤政府参考人 大変失礼いたしました。厳重注意をいたしましたのは飲酒と喫煙の関係でございまして、淫行ということではございませんので、その点、訂正をさせていただきます

○黒澤政府参考人 大変失礼いたしました。
 個別具体的な事案にかかわる捜査でございますので答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますならば、児童買春、児童ポルノ法では児童買春をした者を処罰することといたしておるわけでございますけれども、児童買春とは、児童等に対しまして、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対しまして性交等をすることと規定されております。これに違反するような行為がございますれば、具体的な証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。

○阪上委員 我々、議員立法までして児童虐待の原因解明をやっていきたいというときに、飲酒と喫煙で厳重注意でありますから、ジャニー喜多川氏のこのようなセクハラ行為は、今後警察庁としてどのように追及し、捜査をされようとしておりますのか、決意のほどをお伺いいたします

○黒澤政府参考人 青少年の健全育成は大変重要な私どもの任務と考えておるところでございまして、今後とも、少年の健全育成のためにあらゆる施策、そしてまた各種の法令を適用いたしまして各種の事案に対応して、健全育成を図ってまいりたい。また、関係機関とも緊密な連携をとってこの問題に対処してまいりたいと存じます。

○阪上委員 警察庁の方にも、私の質問の流れを聞いていただいて、ジャニーズの事務所の実態、社長の存在、そして、そこで働く傷つく子供たちのこともよくわかっていただいたと思いますので、これからの児童虐待警察庁がどのような姿勢で対応するのか、これがこれからの動きを大きく左右すると思いますので、注目をしてまいりたいと思います
 
○阪上委員  ジャニーズ事務所所属タレントが一日署長を務めたり、所轄署に差し入れをしていることが捜査に影響を与えているのではないかという意見もよく聞くわけでございますが、そういうことはないと思いますが、お伺いいたします

○黒澤政府参考人 警察におきましては、違反行為につきましては厳正に対処いたしておるところでございます。

○阪上委員 大みそかのNHKの紅白歌合戦といえば、昔ほど驚異的な視聴率は上げてはいないのですけれども、現在でも国民全般に愛されている番組であると思います。
 私も、当委員会に所属しております関係上、若者たちに人気のある芸能人はどういうものだろうかということで、興味を持って前半から見ておりましたが、最近の若者はスタイルはよくなったなと感心する以外、だれがだれなのかさっぱりわからないというのが現状でございました。そして、その出場メンバーの中にジャニーズ事務所という芸能プロダクションに所属している若者たちが大挙して出演していることも知りませんでした。
 そんな折、私は、知り合いの芸能プロダクションの元社長からこんな話を聞いたのであります。ジャニーズ事務所が日本の芸能界を牛耳っているため、ジャニーズ事務所に逆らうとタレントを引き揚げられて番組ができなくなってしまうというのであります。それで、テレビ局は遠慮して、ジャニーズ事務所に関する不祥事を放送できないそうであります。マスコミ、新聞においても、ニューヨーク・タイムズがこの問題を報じておるのにもかかわらず、日本のマスコミはへっぴり腰だという批判を受けておるのもその辺に根拠があるのではないかとおっしゃったのであります。
 そこで、NHKの電波が一事務所の意向で左右されることがあってはならないと思いますが、郵政省はどのような御指導をされておるのか、お伺いをいたします


○金澤政府参考人 放送法第三条におきましては、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうにされております。これは自律の原則をうたっているということでございまして、放送事業者はみずからの判断により番組を編集し、放送した番組については放送事業者みずからが責任を負うということでございます。
 お尋ねの件でございますけれども、これはまさに放送事業者たるNHKの番組編集権にかかわる問題でございまして、NHKみずから判断すべきものというふうに考えているところでございます。
 ただ、一般論として申し上げますと、NHKはその公共性を十分配意いたしまして、番組編集に当たって適切に対応されるものというふうに期待しているところでございます

 

20年以上前(平成12年)にこのような質疑が国会で行われている以上、政府、警察、NHKは、ジャニー喜多川による性加害についての不作為の責任を厳正に問われるべきであろう。

先日のNHKにおける自称「検証番組」とやらは、上記の事実に対して完全に知らぬ存ぜぬを決め込んでおり、言い逃れに終始する醜態を晒すのみであった。「公共放送」が聞いて呆れる。ジュリー景子にも負けないほどの惚けっぷりである。

 

ジャニーらが隠蔽してきた犯罪が(皮肉にも英国の報道機関によって)世界の前に明らかにされ、国内のグローバル企業も対応せざるを得なくなっている今となっては、上に挙げたような要因を真相究明の障害として考慮する必要などない。

現在に至っても日本の各テレビ局がジャニーズ事務所との関係を断ち切れないでいるのは、両者の関係が既に骨がらみになっており切っても切れないものになってしまっているために外ならない。各局の幹部が総退陣するようなことでも起こらない限り自浄作用の働く余地は全くない。

テレビ局とジャニーズ事務所の癒着しきった関係を完全に断ち切ることはもはや不可能であろう。既存のテレビ産業はジャニーズと共にいったん滅びてしまうのが一番良いのだが、今の日本の衰弱したジャーナリズムと日本人の民度を考えると、そうした事態になることもおよそ期待できない。

この先どんな醜悪な展開が待っているのか、見たくもないが見ざるを得ないという反吐が出るような日々が待っている。