INSTANT KARMA

We All Shine On

人生四次元体

藤井風「満ちてゆく」のMVはものすごくよくできていて、映像と役者が強力なので、音楽がBGMのようで、なかなか入ってこなかった。

僕は常々人間の一生というのは四次元構築物だと思っていて、過去と未来は現在と同じように存在していると思って来たので、ハイデガーベルクソンが同じように考えているのを知って嬉しかった。

このMVも、そういう風に見ることができる。

一人の人物の生涯を時間を超えた俯瞰から眺めているような気分になる。

 

いきなり絶筆のシーンから始まる

ノートには「これは最愛の母の物語です」と(マザーは母なる神の象徴ともとれる)

誰もが「役所広司か!」と叫んだ自助グループ(アル中?)での光景

これは幻? それとも

バーでピアニストとして生計を立てる老人

time after time...

my foolish heart...

それを見守るのは…

部屋で独り黙想に沈む

大海の中で独りぼっち流されてきたような人生だったが・・・

若き日の姿 希望に胸を弾ませて出社

サラリーマン風になったとたん偏差値が下がる風ちん(笑)

いきなり上司の叱責を食らい懸命に反論(言い訳)する風ちん

落ち込んでオフィスでぐったり

必死の営業活動その1

必死の営業活動その2

どうもうまくいかんのじゃ・・・

酔っぱらって酒場で乱闘騒ぎ

クビになり荷物をまとめて会社を出ていく

地下鉄で独り落ち込む

硝子越しに見える人影は・・・?

あのときの(潜在意識の)記憶が・・・

人影を追うが・・・

子供の頃、窓越しにピアノ店を覗き込む

母と店に入って試し弾きさせてもらったピアノ

意識の底に眠る母への思い

再びあのピアノ店を訪れる

衝動に駆られて

教会に駆け込んだ

母の眠る墓地へ

老人は車椅子でどこへ向かうのか?

母と二人で入ったあの教会

どうしても見ておきたいものがある

迷える身に救いの手を

俺はどう生きればいいのか

最期に確かめたいものがある

祈る どうか導いて

願う どうぞ連れて行って

今日の悲しみを乗せて

明日の喜びを運んで

母の肖像

いま呼び覚まされた感情

怖くはない 失うものなどない

最初から何も持ってない

今解き放つ

そして 何も持たずに帰る

全て与えて帰ろう

ありがとうって胸を張ろう

待ってるから もう帰ろう

幸せ絶えぬ場所・・・

「では、もはや何も嘆くことはないのか?」と神の声はたずねた。
「何もありません」とクヌルプは頷き、恥ずかしげに笑った。
「すべてが良いのか? すべてが、こうあるべきであるのか?」
「ええ、」とまた頷いた、「すべてが、こうあるべきです。」
神の声はしだいに低くなり、あるときは母の声のごとく、またはヘンリエッテの声のように、そうかと思うと、リーザベットの優しく美しい声にも似て響くのであった。
クヌルプがもう一度目を開けようとしたとき、太陽が、眩しく照りつけるので、彼はすぐに瞼を閉じなればならなかった。雪が、両手の上に降りつもって、重かった。彼はそれを払い落とそうとした。が、今はもう、ただ眠りたいという気持ちが、他のいかなる気持ちよりも、強くなりまさっていた。

「漂泊の魂」ヘルマン・ヘッセ、相良守峯訳

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