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涙のサンダーロード

今夜はブルース・スプリングスティーン Bruce Springsteen『涙のサンダーロード Thunder Road』の歌詞(拙訳)を紹介します。

アメリカを代表するロックンロールアルバム『明日なき暴走』の冒頭を飾る不朽のナンバー。

高校時代の心の歌でした。

メアリーはプライドが高く、主人公を密かに愛しながらも、何も言ってくれない彼に心を閉ざしがちです。放っておけば修道女にでもなりそうな高潔な女性です。

ぎこちないやり方で思いを交わし続けてきた二人ですが、主人公は賭けに出ます。

主人公は雨の夜、薄汚れた車で彼女を誘い出しにやって来ます。

もう若くない二人。これが最後のチャンスかもしれない。

未来はどうなるかわからない。でも何かをつかむためには、この町を飛び出すしかない。一緒に来てくれないだろうか。

アルバムでは軽快なロックンロールですが、ライブでのピアノ・バージョンの方がドラマチックで好きです。

Thunder Road / Bruce Springsteen

 

網戸がばたんと閉まり

メアリーのドレスが揺れる

まるでラジオの音に合わせて

彼女がポーチを横切って踊り出したかのよう

ロイ・オービソンが孤独な人のために歌っている

ああ、それは僕のことだ

そして僕が欲しいのは君だけ

どうか僕を家に帰さないでほしい

もう一人きりではとてもやっていけやしない

 

君も家の中に逃げ込んだりしないでくれ

僕がなぜここにいるか 君はわかっている

君は怖がって

僕らはもうそれほど若くないなんて考えている

少しは誠実になってよ、夜の中には魔法があるのさ

君は美人じゃない だけど素敵さ

僕には十分だよ

 

君は自分の殻に閉じこもって

自分の心の痛みについて考えることができる

愛する人たちから十字架を作り出すことも

雨の中にバラの花を投げ入れることもできる

いつか救い主がこのストリートから現れることを祈って

夏を虚しく過ごすこともできる

僕は英雄じゃない それはわかっている

僕が贖うことのできるものはみな

この薄汚れたフードの下にある

でもなんとかうまくやっていけるチャンスはある

車の窓を開けて 君の髪を風になびかせる以外に

今の僕らに何ができるだろう?

 

夜が大きな口を開けている

この二車線道路が僕たちをどこへでも連れていってくれる

僕たちはこの車輪を翼に換える最後のチャンスを手にしているんだ

さあ、おいでよ、天国がこの先に待っている

さあ、僕の手をとって

今夜、約束の地に向かって走り出す

雷鳴轟く道を

まるで日なたを走る殺人者みたいに

もう遅いかもしれない

でも走れば間に合う

しっかり僕に捕まって 雷鳴轟く道を走ろう

 

僕はこのギターを手に入れて

どうやってこいつに語らせるかを学んだ

僕の車は裏庭にある

君が、君の家のポーチからこのフロント・シートまでの

長い道のりを歩いてくる気持ちがあるのなら

ドアは開けておく

けどただで乗れるわけじゃない

 

僕が語らなかった言葉のせいで

君が孤独だったことは分かっている

でも今夜僕たちは自由だ

すべての約束は破られるだろう

 

君が振った男たちの目には亡霊が見える

奴らは汚れた海岸道路で 

燃え尽きたシボレーの骸骨に乗って

君の名前を叫び

君のガウンを踏みつけるだろう

でも僕のエンジンの爆音が聞こえたら

奴らは夜明け前の冷気の中に消えてしまう

だからおいで、メアリー

僕たちはこの負け犬だらけの街から抜け出して

勝ちに行くのさ