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春雷

このところずっと、伝説の詰将棋作家、駒場和男氏の『ゆめまぼろし百番』を鑑賞していた。 5手詰めも解けない自分に氏の作品を解けるはずもないが、ソフトで棋譜並べしているだけでもその凄さが伝わってくる。 詰将棋の魅力というのは、指し将棋とはまた違って、のめり込むと止められない奥深さがある。 氏も、長手数の詰将棋の創作に没頭するあまり、気が付くと恋女房が姿を消していたという。 第16世永世名人谷川浩司は、おそらく現役プロ棋士として最高の詰将棋作家の一人でもある。

光速の寄せ」と呼ばれる終盤力で将棋界に革命を起こした氏は、その卓越した読みの力を詰将棋創作にも注いできた。 氏曰く、盤面に向かって詰将棋の創作に没頭している時間が至高の時であると。 藤井聡太氏もまた、詰将棋作家として天賦の才を持つが、ある時、師匠である杉本七段が、谷川浩司氏に、弟子の詰将棋創作についてどう思うか尋ねたところ、詰将棋の創作は楽しすぎるから、しばらく止めたがよいと助言したとか。 もっとも、これは藤井氏が奨励会時代の話であり、プロになってからは徐々に創作を解禁しつつあるようだ。 とまれ、自分はこの奥深い世界の入口に立っておそるおそる中を覗いただけだが、新しい世界を発見したようなワクワク感を覚えている。 この記事のタイトル「春雷」は、次の詰将棋の題名。

手の解説は、このページにあるので、将棋のわかる方はどうぞ。