INSTANT KARMA

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The Sun and the Moon

河瀬直美総監督を務める公式映画東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B』の予告編が公開。メインテーマ曲は藤井 風が担当することも明らかになった。

表舞台に立つアスリートを中心としたオリンピック関係者たちを描いた『東京2020オリンピック SIDE:A』。大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者などの非アスリートたちを描いた『東京2020オリンピック SIDE:B』と、異なる視点から描く2作品が公開される。

到着した予告編では、アスリートや非アスリートたちの様々な表情が映し出され、本編への期待を抱かせる仕上がりに。 また映像には、藤井さんが担当したメインテーマ曲も挿入。

河瀬総監督は、藤井さんの存在感や歌唱力、コロナ禍デビューという経緯も含め、運命的なものを感じ、「『藤井 風』という強く優しいきらめきが、今回のオリンピック映画のひとつの灯火になるはずだと確信して、一緒にこの作品を創ってもらえないかとお話しました」とオファーした経緯を語り、藤井さんは「このドキュメンタリーで監督が描かれている光と影、そして人生の勝利とは何かという問いに導かれるように姿を現してくれたのが、メインテーマの”The sun and the moon”という曲になります。このドキュメンタリーを目にする方々、そしてこの記録映画が捉えた時代の歩む先が、光の方でありますように」とコメントした。

なお、藤井さんは劇中の音楽制作にも初めて参加している。 『東京2020オリンピック SIDE:A』は6月3日(金)より全国東宝系にて公開。

少し前の記事で河瀨直美に批判的なことを書いたので、ちょっと複雑な気分。

たぶんオファーがあったのは去年のオリンピックの終わる頃で、その後のNHKでの藤井風の取り上げ方、紅白出演、オリンピックで歌ったミーシャへの曲提供、文部科学大臣新人賞の受賞など、あらゆる動きがつながってくる。

河瀨直美については、今回のオリンピック映画監督のオファーや東大の入学式に呼ばれたりなど、エスタブリッシュメントとのつながりを感じさせる監督である。

この映画をめぐっては、その制作現場を追ったNHKのドキュメンタリー番組で「五輪反対デモの参加者が金銭をもらって動員された」とする偽りの内容の字幕が流された問題でNHKが調査の結果関係者を処分するなどの出来事があり、河瀨監督自身も市民団体などから非難の対象となった。

〈虚偽字幕問題〉についてはオファー後の話であり、藤井風が関知するところではないが、東京2020オリンピックの開催自体に賛否の声があったことや、開会式では小山田圭吾など関わったアーチストが急遽降板したりなど、いわくつきのイベントであったことは知っていたはずだ。

それでも国民的イベントの記録映画の音楽制作という、間違いなく歴史に残る仕事のオファーを受けて、藤井風に断る理由はなかっただろう。

〈最大多数の最大幸福〉ということを前回のブログにも書いたが、藤井風というアーチストの立ち位置というのは、対立や分断を乗り越える普遍的でスケールの大きな存在であろうとすることにあるのかもしれない。

〈光と影/the sun and the moon〉というテーマの立て方にもそれは現れている。なんせ〈影〉ってはっきり言っちゃってるから(笑)。まあコロナ禍のことなのかもしれないけど。

擁護も批判もしないが、色々な矛盾を背負って立つ宿命みたいなものを感じて、これから先も藤井風を注視せずにはおれない。