購入。刊行に尽力された「本の雑誌」社杉江由次氏のコラムによると、連載元である「小説現代」の講談社では本にする予定はないと言われ、すぐさま単行本化することに決めたという。
そしてなんと、図書館に行き、掲載誌を全回分コピーすると、ご自分で一文字一文字原稿を打ち込んでいかれたそうだ。
もともとこの連載の存在を知ったのは、このブログの記事のおかげだった。
西村賢太が、日記の中で「書いていて楽しくてならない」「書かせてもらえて有難い」と繰り返していた連載が、このような素晴らしい形で単行本化されて、きっと、西村賢太だけでなく、収録された作家たちにとっても本望に違いない。西村賢太の読者にとっては、彼の創作の背景にあった過去の文学作品のアーカイブが知れる、他に代え難い貴重な文章である。
信濃八太郎氏による装画を眺めただけで泣けてくる。
既にやってる人もいるかと思うが、自分のメモ用に、言及された作品のうち、国会図書館デジタル送信で読むことができるものを並べておく。西村賢太の流儀からすると、図書館、それもデジタル配信などで読むのは邪道中の邪道で、原書を架蔵しないと意味がないということになるのだろうが。なお、リンク先に飛ぶためには、国会図書館に登録の上、ログインが必要。
田中英光『我が西遊記』下(タイトルになっているのはこれとは別の文庫版「西遊記」)
倉田啓明『地獄へ堕ちし人』
久鬼高治『北十間川夜話』
横川巴人『夢 横川巴人作品集』
尾形亀之助『雨になる朝』(現代日本詩人全集 : 全詩集大成. 第12巻より)
城昌幸『みすてりい』(記事中で言及されている「その家」「スタイリスト」は春陽堂書店「日本探偵小説全集 短編集」で読める)
八木義徳『美しき晩年のために』(記事中で言及されている竹内良夫「田中英光 愛と死と」は読める)
『甘棠集』(佐々木味津三 追憶文集)
相馬泰三『鹿子木夫人』(「野の哄笑」金星堂、大正11より)
島田清次郎『晶玉集』
岩崎英重『坂本中岡両先生遭難顚末』(記事中で言及されている坂本竜馬関係文書などの維新史は読める)