INSTANT KARMA

We All Shine On

昭和

この二日間は久しぶりに家で一人きり(正確にはウザ絡みしてくる猫一匹と)だったので、黒澤明高峰秀子倍賞千恵子高倉健の世界に浸る。

尾形敏朗「完本 巨人と少年 黒澤明の女性たち 」(ワイズ出版映画文庫 18)

・・・主人公たちを励まし、意識を高揚させ、生に向かわせる<少女>というものが、特に昭和20年代の作品に顕著になる。<少女>の純粋さに鼓舞されながら<少年>が自己の完成を求め、全き人間たる<巨人>をめざす姿こそ黒澤映画の本質であり、<少女>の原点には高峰秀子がいた。

倍賞千恵子倍賞千恵子の現場」(PHP新書

――渥美さんはあれだけの役者なのに、取り巻きの人を置かず、いつも一人でした。それでいて財布やカバンを持ち歩かず、お金は直接ポケットに入れていました。

佐藤忠男「みんなの寅さん」(朝日文庫

・・・寅さんの魅力も、ひとつには、画面で見せられるうわべは凄んでも根はお人好しの寅さんの他に、苛烈な人生を送っているもう一人の旅の寅さんがいるに違いないという印象をともなっているところにあるのではなかろうか。

降旗康男監督「駅 STATION」「ホタル」

 健さんの佇まいに村越弘明(ハリー)と共通するものを感じた。さいきんスライダーズばかり聴いているので・・・

高倉健インタビュー「1980年徹子の部屋」「1988年徹子の部屋」「2012年軽部真一

 齢を経るごとにどんどん解放されていく健さんの様子がほほえましい。

 1980年の徹子には寡黙で不器用なイメージ通りの健さんだが、8年後の徹子には軽口を叩いたり延々とエピソードトークを披露したりと素に近い(?)健さんが見れる。これが2012年(80歳で最後の主演作となる「あなたへ」公開の直後)になると、完全に自由な老人の伸び伸びした語り口になっていて、聞き手の軽部氏が圧倒されるほどのトーク力である。

 この2年後に急逝するとはとても思えない。

 

BGMは森田童子「ぼくたちの失敗 森田童子ベストコレクション」