INSTANT KARMA

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岩澤瞳語録

新宿ブックファースト大谷能生『〈ツイッター〉にとって美とはなにか  SNS以後に「書く」ということ』(フィルムアート社、2023年)のサイン本を入手。

レジの前に菊地成孔の「コロナ日記」のサイン本も積んであったのでついでに買う。

ついでに、というのは、既に有料ブログマガジンで日記は読んでいるので特に本を書う必要を認めなかったためだが、サイン本というのと「『まえがき』と『あとがき』が一番面白い」と本人が言っていたので買った。

 

「まえがき」と「あとがき」はもちろん面白かったが、ブログで読んでいた日記も改めて本の形で読むとまた違う味わいがあって面白かった。

 

もう書籍の形になったので書いてしまってもいいと思うが、岩澤瞳の脱退・引退によって終焉した「第二期スパンクハッピー」の後、後釜に神田沙也加が検討されていた時期があった。

菊地はそれを、「藤井隆が、ブレイク前の椿鬼奴らと、熱海に舞い降りた宇宙人という設定の奇妙な番組」に神田沙也加が出演しているのを見てオファーしたと述べており、これはおそらく読売テレビ『ザ・狩人 こちら地球情報局』のことと思われるのだが、神田沙也加が該番組のレギュラーになったのは2011年10月以降だからどうも時系列が合わない。

まあそれはよいとして、菊地は彼女から「この人は生きていて辛いだろうな」というダークサイドを感じ、マネージャーを通じてコンタクトを取ったがそこまでで頓挫した、という経緯が書かれている。

才能もスキルもあり、それを完全にコントロールできているという点で岩澤瞳とは真逆のタイプだったのに、菊地が神田沙也加に岩澤に通じる魅力を感じたというのは興味深い。

男には「不幸な少女」への永遠の憧憬があって(などと書いたら令和的にはアウトなのだろうか。という自己規制が内面化した時点でファシズムは完成している、というのが菊地の優れた洞察である)、男性が女性アイドルを応援し、崇拝し、ストーカー化する動機も根源的には畢竟そこにしかないと思っている(これが女性と男性アイドルとの間にも共通するものか、あるいはアイドルという存在一般にも当てはまるのかは分からない)。だが菊地が女性ヴォーカリストを選択した基準はそんなことではないだろう。

菊地が神田沙也加以上の「ダークサイド」を感じた唯一の存在が宇多田ヒカルであると書かれていて、直接のコンタクトに基づくその部分の記述も極めて興味深い。

宇多田ヒカルの現在の姿を見ると、氷結化された悲しみは時間をかけてゆっくりと解凍されつつあるようにも思えるのだがどうだろう(前川清には会えたのだろうか)。

神田沙也加は2021年12月18日にこの世から旅立った。

 

第二期スパンクハッピーの音源がついに2023年12月6日にサブスク解禁される。

 

以下、「クイック・ジャパンVol.36」(2001年4月発売)のロング・インタビューより岩澤瞳の発言を抜粋したもの。

 

「今好きなのはモーニング娘。浜崎あゆみです」

 

「あゆは教祖様です。めちゃくちゃ会いたいです。会って、好きです、友だちになってくださいって言いたいです。一緒にディスに―ランドに行って、あゆに全部お金払わせて」

 

「あと10歳若かったらモーニング、娘。に入りたいです。」

 

「洋楽で興味があるのはマイケル(ジャクソン)だけ。ホームページで今の顔の状況を写真でチェックしてます。マライアも聴きます。」

 

スパンクハッピーの曲では『麻酔』が好きです。きれいな曲だから。他はないです。あ、でも『ジャンニ・ヴェルサーチ暗殺』は好きです」

 

「吐姉妹の弟子になりたい。一か月でいいから住み込みで働かせてもらって身の回りの世話とかしたい」

 

マクドナルドがなくなったら私どうやって生きて行けばいいかわからないです。でもマックはお金がないときで、お金があるときはバーガーキングに行きます。1週間マクドナルド食べ続けるとイライラしてきてヤバくなって、もうそろろそマックやめなきゃモードに入るんです」

 

「日本は次はどこと戦争するんですか?アメリカとですか?今度はアメリカに原爆のおかえしを…今度は絶対勝ちますよ。(以下ヤバいんで削除)」

 

「27歳には辞めたいです。少しお休みして、その頃には遺伝子工学が発達していて。それで、やっぱり素晴らしい子を作りたいですね

 

以下2001年11月のネットのインタビューより抜粋

今どちらに住んでるんですか。

岩澤「私は横浜です」

一人暮し?

岩澤「おばあちゃんとおじいちゃんと住んでます。1階と2階に分かれてて私は2階に」

御両親は?

岩澤「また別のところに。仲が悪いんで

そうなんですか(笑)。

菊地「電撃的に部屋が汚いらしいですよ。これ一つの伝説。誰も確かめたわけじゃないですけど、“ヒトミちゃんの部屋がどうやら汚いらしい”ということは関係者の間で有名」

岩澤「汚いというより物がたくさんある。服が20着くらい椅子に積み上げてある」

菊地「“片付けられない女”症候群って言うじゃない。あんな感じなの? 」

岩澤「ああ、そうかもしれない。部屋があんまり好きじゃないんですよ

菊地「じゃあさ、東京に出てきて一人暮しするとするじゃない。憧れの場所に。例えば代官山かどっかに。そしたら部屋きれいにする? 」

岩澤「する!」

菊地「する?  じゃあ今部屋が荒れてるのは部屋がきらいなんじゃなくて、生活する上で精神状態が荒れてるってことじゃない?」

岩澤「そうかもしれないです(笑)」

まあ散らかってるは分かったとして、そもそもどんな感じの部屋なんですか。

岩澤「木ですね」

木?

岩澤「フローリングで10畳くらいある」

 

最近何か集めてるものってありますか。

岩澤「えー、あんまりないんですけど、強いて言えばお菓子とか

それ食べるんじゃないですか(笑)。

岩澤「あとで食べる」

菊地「食うまでの間、集めてるってこと?(笑) 」

大体どれくらいの期間“集めてる”わけですか。

岩澤「1週間くらい

みじか(笑)。ああ、それで部屋が散らかってるんじゃないですか。

岩澤「そうかもしれないですね」

 

お二人にとっての宝物を教えてください。

岩澤「私はお菓子とマイケル・ジャクソンの顔」

マイケル・ジャクソンの顔?

岩澤「マイケル・ジャクソンの顔を見るのが好きです

それはどういうことですか。

岩澤「日々変わっていくじゃないですか 。どんどん崩れていく

菊地「それは生きがいだよね。毎日チェックしてるよね」

岩澤「そうですね。インターネットとかテレビで」

でも毎日は変わらないでしょ。それはどのくらいのタームで認識できるんですか。例えば2ヵ月前と今日では違う?

岩澤「違いますね」

菊地「あれは崩れるって分かってるところがすごいね。花と同じだもん」

最近はどうなんですか 。崩壊は進行してますか。

岩澤「してます」

パーセントで言うと何パーくらい進行してるんですか。

岩澤「10パーくらいじゃないですか

いや、でも10パーで良かったです。安心しました(笑)。

 

 

「わあ〜。キクチさあ〜ん。おはよございますう」

 

「グラス使わないの?」


「氷きらいですう〜」


「ええ?何で?」


「冷たいから〜」


「確かにそうだねえ」


「キクチさん何飲みますう〜?」


「あ。僕も、ジンジャー・エールを・・・あと、スモークサーモンのサインドイッチを下さい・・あ。灰皿これ・・取り替えて・・」

 

「うわあ。ジンジャー・エール好きなんですかあ〜」


「ううん(笑)嫌い」


「ええ〜?どうして嫌いなもの飲むんですかあ〜?」


「大切なことなんだよ。その氷ちょうだい」


「ひええええ〜?氷だけ食べるんですかあ〜?」


「氷が好きなんだ」


「なんでですかあ〜?」


「冷たいから(笑)」


「えへへへへへへへへへへへへ」


「こうやってね、好きな物と嫌いな物を混ぜて飲むの・・・そうすると」


「ひええええええ」


「そうすると・・・・・・苦い」


「えへへへへへへへへへへ。苦いんですかあ?」


「うん。苦い。やってごらん?好きな物と嫌いな物を混ぜると何でも苦く成るんだ」


「いやですう〜。えへへへへへへへへへへへへ」


「あのさあ瞳ちゃん」


「はあい」


「キミに決めた。これからも、よろしくね」


「あああ・・・・・・・」


「おめで・・・たくは・・・ないかな特にキミにとっては(苦笑)・・・まあいいか」

 

「ええ?ええ?アタシー。キクチさん、アタシのこと、嫌いだと思ってましたあ〜」


「好き嫌いでやるんじゃないんだよ。バンドは」


「ええ〜?何でやるんですかあ?」


「声と音でやるの。へへへへへへ」


「えへへへへへへへへへへ」


「この間、スタジオで歌って貰ったでしょ。あのテープの声で決めた。うん」


「うれしいですう」


「オッケー。じゃあ、印鑑も紙切れもないけど、確認するよ。俺と組むね?」


「はあい」


「言うことはみんな聞いて貰わなくちゃならないよ。言ってたよね。歌手に成れるんだったら、何でもするって」


「・・・はあい・・・あの・・あの・・」


「あのええと、勿論、そんなことは考えても居ないだろうが、俺と寝ろ。とかいうことだけは今後一切無い。これは絶対約束する。プロデューサーと寝ろ。っていうのはあるかも知れないけど(笑)」


「いいですう(笑)」


「頼もしいね(笑)」


「キクチさあん、彼女いないんですかあ?」


「いないよ。友達はいっぱいいるけど。あと奥さんが一人居る」


「つまんなくないですかあ」


「面白いよ」


「ずううっと面白いんですかあ〜?」


「うん。36年ぐらいずっと面白いままだ。去年の今頃から、倍面白くなって、頭がおかしくなりそうだね」


「・・・・・」


「恐らく、今は仲良しだけど、きっと酷いケンカもする事になると思う。仕事だからね」


「あの・・・あの・・」


「なに?」


「足は出せませえん・・・・」


「ええ?(笑)」


「太いから・・・」


「何とか細くならないもんかな(笑)」


エステ行きたいですう」


「儲かったらエステでも整形でもし放題だ。ただし儲かったらね」


「うわあ・・」


「他に希望は」


「歌が上手になりたいですう!」


「成る。約束する。他には?有名になりたいとか?」


「はあい。歌が上手になって・・・」


「お金も欲しい?」


「欲しいですう。歌が上手になって。歌が上手になって・・・お金は・・」


「どのくらい?」


「・・・・えっと・・・・500万」


「ブシュー(ジンジャーエールを噴出する音)500万でいいのか!わははははははは!!」


「ええー・・・じゃあ・・じゃあ・・・3000万!」


「(笑)ええとね・・・瞳ちゃん。勿論、キミが泣いてるのに棒で叩いたり、髪の毛引っ張ったりはサスガにしないけど、さっきも言ったように、かなり言うこと聞いて貰わなくちゃならない。キミは今、とっても可愛いけど、もっともっと可愛くしなくちゃいけない。キミは今、歌が上手だけど、もっともっと上手にしなくちゃいけない。解る?ね?キミの自由は、悪いけどほとんど無いんだ。しかもね、じゃあ、俺の言うことさえ聞いてれば、それで絶対お金が儲かって有名に成る。なんて保証も全くないんだよ」


「・・・・・・」


「勿論ベストは尽くす。この業界でね、僕がタレントさんでステージ上がって女の子と歌ったり踊ったりするのも、これで最後だ。だから、始まったらきっとびっくりすると思う。俺があんまり一生懸命で。こんなこと、今一回だけしか言わないけど、キミ以外にもたくさんの子がエントリーしてくれた。みんなにすっげえ感謝してる。一人一人断るのは地獄だったぜえ。だから絶対いい加減なことは出来ない。それでも保証はゼロなんだよ。何でも言うこと聞かされてさ、全然売れなくてね、2年もくすぶって、ゴミみたいにポイってこともあるんだ。歌がどんなに上手くってもね、誰も聞きたくない。ってこともある。恐ろしいことに、そういうことが普通の業界なんだ。ね?今俺はキミにどうしても言わなくちゃならない事があって、僕は凄く胸が痛い。すごく辛い。それが何だか解る?」


「・・・・・・・・・・」


「毎晩のプリングルスとジンジャー・エールを止めてくれ(笑)」


「ひえ〜。うわ〜。」


「そこまでして、プリングルスとジンジャー・エールを我慢してまでだぜ。結果だめでした。時間と金の無駄だった。ママの所に帰りなさい。俺の責任だ。そしたらどうする?」


「え〜と。えと・・えと・・」


「うん」


「キクチさんを殺しますう〜。えへへへへへへ」


「殺すのか(笑)」


「はあい。えへへへへへへへへ」


「殺されるのか俺は・・・・・・ちょっと考えさせて。うーん」


「えへへへへへへへへ」


「オッケー。決定。」

 

~ ~ ~

 

「いいかい?このテイク・ツー聞いてみて。こっちのが可愛いでしょ?」


「はぁい」


「テイクワン聞いてみようか・・・・ほら、これはヒットチャートで良く聞く歌い方だと思わない?あんまり新鮮じゃないじゃん?解る?もっと力を抜こうか。鼻の裏側が、力んでるでしょ・・こう・・・顔触るよ?いい?・・・脱力して・・・はい。アーつってごらん?Fの音で・・・鼻からじゃなくて、目から出す・・・はい」


「アー」

 

「わかる?」


「う~ん・・・わかり・・・まっすう・・・」


「へへへへへ。ピンとこないか。まあいいや。はいお疲れさま。これで今年のレッスン は終わりだね」

 

「おつかれさまでしたあ~」


「はいこれ」


「ええ?!ええ?!」


「クリスマスプレゼント&バースデープレゼント。でも一個なのだ」


「うわあ~うわあ~。ありがとございますう~」


「も一個欲しいでしょう?」


「ええ~?ええ~?・・・いりま・・・せええん」


「へへへへへへへへ。偉いね」


「えへへへへへへへへ」


「実は、もう買ってあるのだ。ふふふふふふ。遠慮しなくていいのよ」


「ええ~?ええ~?・・・じゃあ、じゃあ・・・・ほしい・・・ですう・・」


「来年、デモ用のアーティスト写真の撮影があるの。お解りね。瞳ちゃん」


「えへへへへへへへへへへへへ」


「それまでに体重を4キロ落としてくれ」


「えへへへへへへへへへへ」


「そしたら、残りのもう一個上げる。落とさなかったら、殺す」


「物で操るんですかあ?えへへへへへへ」


「物で操られたいでしょ?キミ」


「えへへへへへへへへへへへ。そですう~」


「ひっどいねーお互い。物欲まみれの人間のクズだね。へへへへへへ」


「クズですう。えへへへへへへ。菊地さんのが、ちょっとクズ。えへへへへへ」


「ポテチ喰ってないだろうね?まさか」


「喰ってません!喰ってません!ケーキも喰ってません!あ・・・でも・・」


「でも何?」


「あれ喰いましたあ~」


「何?」


「マックのゆくトリくるトリ」


「旨いのそれ?」


「旨くないですう。えへへへへへへへへへ」


「へへへへへへへへへへへへ」


「あの~。あの~。菊地さあん。ええと~・・・・これあげますう」


「何それ?」


「昨日撮ったプリクラ」


「はははは。サンキュー、じゃ、携帯の裏っかわに貼ろう。しかし、こんなんまだ撮ってるのか、律儀に」


「もうメンド臭いですう~。毎日~」


「でもニコニコしてんじゃんメンド臭い割に」


「ええ~?菊地さあん」


「何?」


「ニコニコってえ~メンド臭いときにするもんじゃないんですかあ?~」


「・・・・」


「あといつするんですかあ?~」

 

~ ~ ~

 

「あ、カシスソーダ来たね・・・違う違う・・こっちが・・・・僕がウーロン茶。彼女がカシスソーダ。そう。・・・そうそう。はいお疲れさまー」

 

「お疲れさまですぅー」


「やっと高井も山本まりあちゃんもプロデュースひと段落ついたから今月はいよいよデモテープのレコーディングに入ろうかな」

 

「キクチさんアタシ憂鬱ですぅ~」


「え?どして?ドキ」


「花粉がぁ、今年はぁ、はちはちはち八倍なんですよお~」


「・・・知ってる・・・それを言うな・・死にたくなるから」


「アタシすごい花粉症ですぅ~」


「俺にはかなわないもの」


「アタシのが凄いですぅ!」


「絶対かなわない。だって、最高100でね、80以上で重症。ってうアレルギー検査で160たたき出した男だよ」

 

「あはははははははは。たたき出したんですか~。何で叩いたんですかあ?~棒で叩いたんですかあ~?」

 

「あの(笑)・・あれで・・神社で手を洗うオタマみたいなのあるでしょ・・あれでたたき出した(笑)医者の頭を(笑)。直接目玉を爪で掻いたことある?」

 

「ありますうっ!!うひゃー!キクチさんも!」


「白目ってさ!掻くと・・」


「水膨れになって!水膨れになって!目が開いたままになるんですぅ!」


「うおー(握手)」


「ひゃ~(握手)」


「8倍だ・・・瞳ちゃん・・・」


「・・・・だって・・・だって・・・2倍だって死んじゃいますぅ。どうしましょう~」

 

「(鼻つまんで歌う)ニーッポンノミライワ・・とかいう声でレコーディングするしかないな。もう」

 

「あはははははははは(鼻つまんで)ラブマッシーン」


「あはははははは」


「(鼻つまんでもう一回)ラブマッシーン」


「俺も鼻詰まってるから(鼻つまんで)ダーメダメ、モットキモチコメテ!」


「えへへへへへへへへへへへ」


「二人とも目が真っ赤っかで、鼻の下が裂けて血が出てんの(笑)」


「ひゃー。恐いですう!」


「しっかし8倍って何なんだよ(笑)どういうことだ一体?」


「風が強いんですう」


「違うだろ(笑)杉が多いんじゃないの?よくわかんねえけど」


「杉なんか全部切り取ればいいのにー。何で切らないんですかあ?嫌がらせですう」


「やっぱほら、森林伐採はいけないっつうか、緑を大切に。ってんじゃないの?」


「そんなのー、今更何いってんでしょうかー(怒)自然なんかー(切)」


「あらまあ、エコロジーとか好きじゃないの?」


「どーでもいですうー(ゴクゴクゴク)」


「鼻の手術で治るんだよね」


「良いですねえー!」


「ついでに整形する?(笑)ちょっといじっとくか!(笑)デビュー前に」


「手術したいですぅ!手術手術!」


「あははははははは。胸も入れとくか?今・・・のままじゃ・・ねえ?(笑)」


「入れますう!シリコンッ!シリコンッ!」


「はははははははははははは」


「あと、あと、外人になりたいですう!マイケルジャクソンみたいに!」


「そんで鼻が詰まってんの(笑)」


「八倍詰まってますう(笑)溢れちゃいますう~」


「ブルーだな(笑)もうダメだ」


「北野ブルーですう(笑)」


「もう、モーニング娘の新加入募集してるから、そっち受けるか。二人で」


「うわあ。受けたいですう!」


「そうだ!瞳ちゃん一回そっち受けて、一回合格して、そんで辞めろ!そんで帰ってこい!(笑)つんくをプロモーションに利用するのだ!」

 

「ひえー!キクチさん凄い考えですぅ~」


「帰ってこなかったりして~(泣)」


「キクチさんだけ合格したりして~(泣)」

 

~ ~ ~

 

「もしもし。岩澤さん?」


「ふわーい。瞳ですうー」


「あのね明後日の練習、6時からでいいかな?」


「菊地さーん。元気ですかあー」


「キミは?」


「あのー。元気ですう。そんでー。体重がー」


「太った!!」


「全然変わりませーん。ごめんなさーい」


「うっく。まあ仕方がないわ。ガンバってね。コンビニ行きなさい、そしたら夏に向けてあと4キロ。って全部の雑誌に書いて有るから」

 

「菊地さーん。元気ですかあー」


「全然元気じゃない。ノイローゼかも知れない。人を殺す経験がしてみたいんだ。何だか」

 

「うわあー。それじゃ、お兄ちゃんと一緒じゃないですかあー」


「ははははは」

 

「そしたらディズニー・ランドに行けば・・・アタシ!ディズニー・ランドのパレード見て泣いちゃいましたあ!」

 

「あらまあ、アナタにそんな奇麗な心があるなんて信じられませんことよ」


「うふふふふ。アタシにもそんな奇麗な心がありますことよ」


「うそつけ。絶対カマトトぶってるね」


「そんなことありませんことよ。うふふふふ」


「キミにそんなピュアな心があるなんて信じない。決して」


「菊地さんもディズニーランドに行ってパレード見ればノイローゼ治りますう」


「ちーがうんだよ。あのねえガナッシュとプラリネ、そしておいしい冷たい水だよ」


「え?え?ああー。菊地さーん。ノイローゼですねえー。可哀想ですうー」


「ま、いいやじゃあ6時からね」


「あのー。マイケルジャクソン見たんですう」


「うん」


「すごーい。キモーい。コワーい。あれ、どうやってやるんでしょうかー。白人にー」

 

「何言ってんだ今頃(笑)あの、間違ったのを消す、白いペンあんじゃん?あれを毎日皮下注射するんだよ」

 

「あたしもしてほしいですー」


「キミ、充分白いじゃないか」


「でもしたいですう。整形とか改造とかしたいー」


「こりゃチョコとおいしい水どこじゃねえな」


「早くお金を儲けて整形しまくりたいですうー」


「オーケー頑張ろう(笑)」

 

~ ~ ~

 

「菊地さーん。今日、ジョン・ベネのサイトに入ったんですう」


「うん。」


「かっあわいいですう~。ジョン・ベネ~」


「まったく賛成としかいいようがないね」


「あれじゃあ、お父さんがヤっちゃうのも無理無いですう~」


「まったく賛成としか言いようがないね」


「あれって、整形ですよね~。すっごく奇麗ですう~。あたしも整形した~いですう~。お父さんが整形してくれたんでしょうか~」

 

「さあ歌ってみましょうかね」


「はーい」

 

 

「うーん。そうだなー。このままじゃ、ちょっと苦しいね。行き止まりだ」


「・・・・・」


「あのね、瞳ちゃん。いい?」


「はい・・」


「こんなん言い出してさ、何言ってんだ、こいつ。って思うかも知れないんだけどね、ひとつ、お願いがあるんだよ」


「はい・・・」


「これは、大切なことなんだ。最初は意味が分からないかも知れないけど。もし出来たら・・・きっとキミなら楽勝だと思うんだけどね」


「何ですか?」


「こうやって、二りっきりでいる時間があるでしょ?まあ、多くはリハーサルの時かな?今みたいに」


「はい」


「その時に限ってはさ・・・あのー」


「・・・」


「敬語を辞めて欲しいんだ。タメで話してくんない?何かちょっと馬鹿らしいかも知れない。でも、これはゲームのルールを変えたり、実験室で新しい薬を使ったりするのと同じなんだ。今からせーので行きてえんだけどな? どうかな?岩澤?」

 

 

 

 

 

「うん・・・いいよ。わかった」


 


「オッケー。岩澤。それでいい。それでいいよ。サンキュー」


「えへへへへ」


「どうした?(笑)」


「菊地さん・・・今日凄く真剣(笑)。笑ってるけど、今までで一番真剣だね」


「そりゃあ真剣にもなるさ。ったりめえだろ。岩澤よおー(笑)遊びでやってんじゃねえんだぞ(笑)」

 

「黙って目をじっと見てれば、人のことなんて全部解るの」

 

「知ってるよ。オマエの超能力だろ?じゃあ、今から俺が何を言いたいかもお見通しだよな?(笑)」

 

「少し解るよ(笑)」


「キャラ替えで御座います。仮面を脱ぐでございますよ。その時期が来たんだ」


「えへへへへへへ」


「どう?気分変わった?」


「すごい変わったよ」


「いろいろ話さなくちゃならねえことがいっぱいある。こんな風にでもしねえと話せないことが溜まっちまったよな」

 

「でもさあ、菊地さん。こんな小娘にタメ口聞かれて、キレないの?」


「今まで一度でもキレたかよ」


「みんなあたしと話すとキレるの」


「知ってるさ。ほんとタチ悪いよ。オマエは(笑)挑発者であることに関して剥き身だ。危なっかしいったらねえよ」

 

「何で菊地さんはキレないの」


「なんか・・・相手が先にキレちまうんだもの」


「えへへへへへへ。あたしと同じだ」


「似てんだよ。俺達。オマエ、19位の時の俺とかなり似てる」


「そう思うよ(笑)」


「だからキャラ被りだからよお。一歩間違えたら激突だ。上手く手ぇ組むしかねえぞ」

 

「どうすればいいのかな?」


「そこが醍醐味だろ」


「ねえ?菊地さん・・・あたしがタメ口になって心を開いても、馬鹿にしない?」


「絶対そんなことしねえって約束する。馬鹿にされるのを恐れるのは、オマエが人を馬鹿にしてるからだ。俺を馬鹿にしてる?」

 

「してないよ」


「だったら大丈夫だ。ま、馬鹿にしてても大丈夫だけど(笑)」


「わかんなくなっちゃうの・・・自分でも何言ってるんだか、何考えてるんだか」


「それも知ってるさ。いいよ。そんなの楽勝でオールオッケーだ。それより」


「なに?」


「まだ辞めたいか?」


「辞めるわけないよ(笑)」


「もう逆ってんじゃねえかよ!オラー(笑)」


「ねえ?あたし、大丈夫かなあ・・・」


「俺は馬鹿おまえ。無茶苦茶な女なんて、悪いけど掃いて捨てるほど関わったっつうの」

 

「○○○○さんのことだ(悪笑)」


「違・・・わないけど、そういうことじゃなくて(笑)」


「あのね、あのね、あたし・・」