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よもやまベルクソン

ベルクソンの入門書を2冊ほど読んでもいまいち分からず、『意識に直接与えられたものについての試論(時間と自由)』もなかなか手強くて、ちょっと挫折気味だったが、今読んでいる『精神のエネルギー』はけっこうおもしろい。

小林秀雄の本に出てくる、戦場にいる夫の夢を見た夫人の話も出てくる。

なぜこんなにベルクソンにこだわっているかというと、小林秀雄がとても影響を受けたということがあるからだ。彼が最後に書こうとして書ききれなかった「ベルクソン論」を最後に読もうと思っている。

『時間と自由』など読むと、何だか当たり前のことを言っているようにしか思えなくて、彼の思考につきあうのがしんどくなってくるのだ。

だって「言葉ではありのままのリアリティ(実在)を表現し尽くすことはできない」とか「時間は持続であり、空間と等値化することはできない」なんて当たり前じゃんよ。

そんなことを「言葉」を使って延々と「語る」ことに何の意味があるのか。

今こんな悪態をついているのはわざとで、あとで盛大なブーメランが飛んでくるのを密かに期待しているのである。

ただ何となく、ベルクソンという人は、哲学者である以前に人間として立派だったんだろうな、というのは伝わって来て、そこはハイデガーなんかと違うところ(おい!)。

人間性ゆえか彼の講義はけっこう高度な内容なのにもかかわらず毎回押すな押すなの人だかりだったとか。

第一次世界大戦にあたっては、フランスを代表して渡米しウィルソン大統領と直談判して国際連盟の設立に尽力するなど民間外交使節としても活躍した。

にもかかわらず晩年は持病のリューマチに苦しみ、最期はドイツ占領下のパリでひっそりと息を引き取る。ユダヤ人であった故、まともな葬儀も出せなかった。戦後は記念碑が建てられ讃えられたのは言うまでもない。

18歳のサルトルベルクソンを読んで「哲学ってすごいなあ」と言ったというのは有名な話(らしい)。

1859-1941

あと、本人よりも、妹のミナが、魔術結社『黄金の暁団』の首領マグレガー・メイザースと結婚して波乱の生涯を送ったなどという方に関心が行きそうになった。

ミナ・ベルクソン(1887の頃)1865ー1928