INSTANT KARMA

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Structure et Force

良きギャンブラーは良き遊戯者の資格をそなえている・・・悪しきギャンブラーは何度も骰子をふることによって望みの目を出そうとする。そのことによって骰子ふりを未来の目的に従属させ、偶然性を蓋然性に変えてしまうのだ。それに反して、良きギャンブラーはただ一度の骰子ふりにすべてを賭ける。彼が知らなければならないのは、偶然性をツリー状に組織することによって広義の確定性の中に回収してしまうことでもなければ、大数を前提として統計的な規則性に訴えることでもなく、偶然性を偶然性として一挙に肯定することなのである。

浅田彰『構造と力』第6章

浅田彰『構造と力』の文庫本(中公文庫)を買って読む。

発刊当時(80年代)は自分とは無縁なスノッブ知識人に感じて読まず、その後もどうせフランス現代思想から借りてきた難解な哲学用語で煙に巻くだけの内容だろうと思っていたのでずっと手を出さずに来たのだが、読み始めたら面白くて止まらなくなった。

とはいえ「序」はともかく第1章はフランス現代思想から借りてきた難解な哲学用語で埋め尽くされていたので理解できず、あきらめようとしたところで千葉雅也の解説を読んでひと息ついて、第2章から再びチャレンジしたら面白くて最後まで一気に読んだ。

人間を競争と強迫観念で追い回す資本主義社会で生き延びるためにはどうすればいいのかをちょっとでも深刻に考えたことのある人間なら読んで損はないのではないかと思った。それ以上でも以下でもない本。というのが分かっただけでも良かった。

改めて感想は書けたら書く。

東浩紀「思想地図beta3 日本2・0」「弱いつながり」という本は図書館で借りて読んだ。これはどうということはない。「ゲンロン戦記」の方がずっと面白い。