千葉雅也『動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』に手を出している。
ジル・ドゥルーズは一冊も読んだことがなく、いわゆる現代思想やポストモダンとかいうものにはまったく興味がないので、いきなりこの本を読んでも何が書いてあるのかさっぱり分からない。こういう難解な哲学用語で書かれた文章は小説の中でパロディ的に用いる以外の有益性が見出せない。難解であることは高度であることを意味しない。
それでも読んでいるのは、千葉雅也のあの小説のユニークさが、彼の哲学や思想に由来するものなのか、それともまったく別の理由によるものなのかを知りたい、と思ったからだ。
しかしこれほどアカデミックな内容の本がベストセラーになり文庫化されるということに驚く。浅田彰の本や東浩紀の本なども、同じような感じで売れたのだろう。こういう本が売れるというのは悪いことではないと思う。
現時点では、この著者がこの哲学書を書いたことと、『デッドライン』や『オーバーヒート』のような小説を書いたことの間の因果関係は僕の中で切断されている。