藤澤清造、田中英光、車谷長吉、佐伯一麦などを手当たり次第に読んでいる。
すごく面白く引き込まれる作品もあればそうでもないのとの落差が激しい気がする。
ふと思ったのだが、私小説は伝統的にダメ男が自堕落で破滅的な生活に落ち込んでいく様子を自虐的ユーモアを交えつつ語るというのが基本だが、たいてい風俗通いや女関係で泥沼になっていく様子が語られる。
田中英光なんかはまさにそれで、「敬子もの」シリーズは男の見苦しい弱さと同時に女のどうしようもなさも露になっていて単純にどっちかの善悪で語れない所が魅力にもなっている。
しかし女が書いた私小説というのはどうなるのだろうか。自分はまだ女の私小説というのを読んだことがないので、女版西村賢太や女版田中英光みたいな私小説を読んでみたいと思っている。