INSTANT KARMA

We All Shine On

まともがわからない

半世紀以上ジャニー喜多川の性犯罪を見て見ぬふりしてきた連中がここにきて一斉に正論をふりかざしてしょうもない反省やら生温い追求やらやっているふりをしているのが気持ち悪い。

宮台真司トリチウムが生体濃縮するとSNSで主張したのを科学音痴と糾弾し、宮台の過去の発言まで論って社会学者はバカと決めつけて集団で叩いている連中が気持ち悪い。昨年の今頃炎上してSNSから消えた東浩紀が今頃それに便乗しているのが気持ち悪い。

インボイスも福田村事件も何もかも気持ち悪い。まともがわからない。

 

そんな中、北川景子のインタビューを読んで、複雑な気持ちになった。

「デビュー当初はネットの掲示板くらいしかなくて、それを見なければ傷つくことはなかった。精神的な安定が保たれていたんですけど、30歳くらいから週刊誌の記事がネットに上がるようになって。メンタルがやられてしまった。しっかり読んでくれれば伝わるのに、タイトルの1、2行だけが独り歩きして。臆測で語られるコメントを見ては、落ち込んでしまって」

北川景子は、女優の中では比較的サゲ記事が少ないという印象があったので、これを読んで意外に思った。

新婚当初の記事も、二人で「まどマギ」を見て号泣したとか、Daigoとゲーム機を取り合ったとかいう他愛無い、好感度しか与えないような記事が多かったし、ネットでも叩かれているという印象はなかった。

「昨日乗った電車の向かいの方が、そのコメントを書いたかもしれない。スーパーで買い物をした時のレジの方が書いているかもしれない。私って、結構嫌われていたんだって人間不信、疑心暗鬼になってしまって。私みたいな昭和生まれの人間は、当初ネットとうまく付き合えなくて。その3年間は地獄のような日々でした」

結婚後の北川景子に嫌われる要素があるとしたら、彼女ほど聡明でも美人でもない同性からのやっかみくらいしか浮かばないのだが、そういうものを気にして悩んでいたのだろうか。

むしろ彼女が傷つくような記事は結婚前に多かった気がする。それもタバコがどうとか男関係がどうとか食べ方がどうとか、まったくくだらない記事で、もっとひどいことを書かれていた女優はいくらでもいた。そういう記事を結婚前に目にしたことはなかったということか。目にする暇もないほど忙しかったのだろうか。

「3年間、取材でもなるべくきれいなことのみを言うようにして。そうしたら、全然取り上げてもらえなくて。それで、気づいたんです。箸にも棒にもかからないのが一番良くない。皆に何かを伝えることが使命なのに、自分を良く見せようとしているだけだって。コロナ禍と重なって、取り繕っている自分が世にはあんまり出なかったですけどね」

確かに、結婚後のインタビューの発言は「きれいなこと」が多かった気がする。でも全然取り上げてもらえないことはなかったように思う。

・・・とここまで書いて気づいたのだが、もしかして結婚後にヒマになってエゴサした北川さんが、何かの間違いで、自分が過去に書いたブログを読んでしまったという可能性はないだろうか。

しっかり読んでくれれば伝わるのに、冒頭の一二行だけ読んで、「この人は私のことを批判している」と受け取られてしまっていたとしたら・・・

30歳からの3年間と言えば、

家売るオンナ(2016年 - 2017年)
ヒポクラテスの誓い(2016年10月)
しあわせの記憶(2017年1月)
大河ドラマ西郷どん(2018年)
指定弁護士(2018年9月)

破門 ふたりのヤクビョーガミ(2017年1月) 
君の膵臓をたべたい(2017年7月)
探偵はBARにいる3(2017年12月)
パンク侍、斬られて候(2018年6月)
響 -HIBIKI-(2018年9月)
スマホを落としただけなのに(2018年11月)

をやっていた時期。

もう公私ともに充実しきった人生を過ごしているものと思い込んでいた自分は、順風満帆な女優・北川景子について何か書こうという気もしなかった。その時期はもう、事務所との契約を解除して荒野に立った能年玲奈(のん)のことで頭が一杯だった。

その頃の彼女がまさか「地獄のような日々」を過ごしていたとは想像できなかった。

ネットとはなんと罪深いものなのか。ましてSNSをや。

自分の知らぬ内に好きな女優を地獄のように苦しめていたネット(ブログ)なんてものはもうやめてしまおうかと悩んだ。

しかし彼女はこうも言ってくれている。

同時期に、妊娠したことも契機となった。

「この子に誇れる生き方をしないといけないと。それからは人を信じて、話していこうとなりました」

はたからみたら順風満帆に見えるが、ジェットコースターのような20年。だが、信念は変わらない。避難所で勇気をもらった時に抱いた気持ちはブレない。

「たまたまですけど、私もこの世界に入って、コツコツ(仕事)している。作品や取材記事の1ページや1行が、誰かの希望や救いになることもあるかもしれません。それが、この仕事のやりがいといいますか、だからやろうと思える。今回の作品でも、そういう描写があって。自分が思うこととシンクロしていて、うれしく思います」

自分もこれからは、誰かの希望や救いになることしか書くまい、と思った。