経済に関する支配的な資本中心的言説においては、資本主義的な経済活動があらゆる経済活動のモデルとみなされるが、そうした言説を破壊することによって、わたしたちは経済的アイデンティティを「ぐらつかせる」ことができる。経済的展望を攪乱して、経済的多様性を持った新しい言語を構築することを通じて、わたしたちはネオリベ的なグローバル資本主義の経済言説による、統一とヘゲモニーを脱臼させることができるのだ。
Gibson-Graham, A Post-Capitalist Politicsより
現在、主にヨーロッパの「環境活動家」たちが行っている、美術品やフェラーリなど奢侈品の破壊行為を始めとする、いわゆる「エコテロリズム」は、「やり逃げ」が許されない世代による絶望的な運動の形態といえる。彼らは「加速主義」を求めることもなく、事態が改善される希望すら抱くことなしに、一種の復讐行為としてそれを行っているのだ。
そんなことをして何になるのかとか、逆効果でしかない、という大人の言い分をすべて承知したうえで確信犯的にやっている行為だから、話し合いは平行線を辿るほかない。
そういうわけで、マーク・フィッシャー最終講義「ポスト資本主義の欲望」を借りて読む。たとえ不完全ではあっても、これが今我われが手にすることのできるありったけのカードなのだ。
トラックリスト「悲惨な月曜日の朝はもうたくさんだ」
1. Jobseeker / Sleaford Mods
2. House in the Country / The Kinks
3. Rat Race / The Specials
4. Too Much Work Load / Singers & Players
5. Boss Man / Rhythum & Sound
6. Tethered to my Hot-Spot / eMMplekz
7. Smithers-Jones / The Jam
8. I'm Gonna Tear Your Playhouse Down / Ann Peebles
9. Spaceship / Kanye West
10. Chant No.1 (I Don't Need This Pressure On) / Spandau Ballet
11. Stoned Love / The Supremes
12. Psychedelic Shack / The Temptaions
13. Off the Wall / Michael Jackson
14. Can't Stop Playing(Makes Me High) / Dr Kucho! & Gregor Salt
15. Lost in Music(Special 1984 Nile Rogers Remix) / Sister Sledge
16. At Last I Am Free / Chic
フィッシャーは学生たちと共に働く(学ぶ)ことを愛していた…学生たちもまた、フィッシャーとともに学ぶことを愛していた。こうしたことを心の中で理解していたのだろう、フィッシャーの学生たちは、1月半ばの彼の死を悼む月曜の朝に、このミックスリストを聴くことにした。
このミックスは、それにふさわしく、スリーフォード・モッズの「Jobseeker」から始まる。カウンターカルチャーの隆盛と衰退を経験する前に、サイケデリック・ポップがダブに取って代わられ、ダブはディスコに取って代わられる。21世紀の労働者階級の怒りを収めた圧力鍋のような数々の曲が、つながっては方向を変え、1978年のシックの幸福に満ちた「At Last I Am Free」でフェードアウトしていく。
全体として、このミックスは、脳を快楽に満ちた怒りの状態へと触発する。…美的なものの具体化と言うこのプロセスにもかかわらず、これらの曲が約束する自由はソウルフルなままであり、励ましに満ちたソウル・ミュージックが鳴り響き、従属させられた身体が現代的な自己満足から引き摺り降ろされる。
このミックスは2008年から1978年へと遡っていくように見えるかもしれない。だがそこでのメッセージは未来の方を向いている。複数のオルタナティヴが存在する。複数の明日が存在している。変わるべき世界がある。