War Is Over

 if you want it

鳩が泣く

『パープル・レイン』という映画については一冊の本が書かれているくらいだが、この映画が感動的なのは、主人公キッドの孤独と野心と愛と痛みが、プリンス本人のそれと重なっているからだろうと思う。

演技の中に<生モノ>としてのプリンスがはみ出してしまっている。こういう作品は、以後のスーパースターで大天才で<傑作製造機プリンス>からは決して生み出されなかった。

「パープル・レイン」はプリンスの全キャリアを通じて最大のヒット作だが、決して華やかな作品ではない。むしろ暗い作品だと思う。青臭く、やり場のないエネルギーをぶちまけるような激しさに満ちている。

この「When Doves Cry」という曲のイントロが、当時のプリンスの荒々しい内面を象徴しているような気がする。そしてその響きは聴く者の心にダイレクトに突き刺さった。

良く知られているように、この曲にはベースが入っていない。そのことが一層この曲の生々しさを高めているように思う。

キッド(プリンス)は、恋人と言い争っているとき、ふと、これは自分の両親と生き写しの姿であることに気付く。

良く知られているように、鳩は平和の象徴だ。

父親はジャズ・ミュージシャンだったが、酒に溺れて家族に暴力を振るうようになり、母親は家を出ていく。プリンスはそんな両親の姿を見て育った。

プリンスもバンドを率いて、自分の思い通りにならないと周囲のミュージシャンに当たり散らす。リサとウェンディはそんなプリンスに愛想を尽かして出て行こうとする。「パープル・レイン」という曲は、彼女たちが作ったデモ・テープから作られた。その曲で映画は大団円を迎える。

暴力的なまでに激しい情熱と、決して満足することを知らない探究心。プリンスは自らの血に含まれているこれらの要素を、有り余る才能で飼い慣らすことに遂に成功したのだろうか?

When Doves Cry/Prince

 

思い描いてみて

きみと僕がキスに夢中になっているところ

きみの身体から滴る汗が僕を覆い尽くしているところ

ありありとイメージできる?

夢想してみて

中庭で海のように咲き誇るスミレの花

獣たちが奇妙なポーズを取る

奴らも熱を感じているんだ

僕ときみの間から発している熱を

 

どうして僕を放っておくの?

こんなに冷たい世界に独りぼっちにして

たぶん僕は求めすぎているのかもしれない

親父と同じように大胆になりすぎているのかもしれない

たぶんきみは僕の母親と同じで

決して満足することがないのさ

どうして僕たちは互いに叫び合うんだろうか

まるで鳩が鳴くみたいに

 

僕のお腹に触ってみて

中が震えているのを感じるだろう

きみは蝶がピンで留められたみたいに僕を虜にした 

きみを追いかけさせないでほしい

鳩にだってプライドはあるんだから

 

どうして僕を放っておくの?

こんなに冷たい世界に独りぼっちにして

たぶん僕は求めすぎているのかもしれない

親父と同じように大胆になりすぎているのかもしれない

たぶんきみは僕の母親と同じで

決して満足することがないのさ

どうして僕たちは互いに叫び合うんだろうか

まるで鳩が鳴くみたいに