INSTANT KARMA

We All Shine On

プリンス

傷ついた 夏の終わりの 大団宴

1990年にプリンスが来日した時の「ヌード・ツアー」の広告に載っていたキャッチコピーが、たしか「傷ついた夏の終わりの大団宴」だったと記憶している。 記憶違いとしても、別に構わない。 個人的にはプリンスのライブの最高峰は「サイン・オブ・ザ・タイム…

Even Doves Have Pride

夜中の三時に目覚めて寝付けなくなり、iPadにイアホンをつけてプリンスを聴きながら過ごしていると盛り上がってしまった。 そのときのプレイリストを忘れないうちにメモしておく。 1. The Ladder (from [Around the World in a Day]) 2. Positivity (from [L…

Blog and me

teacupに好きな音楽やらタレントやらについて雑感を書き連ねるブログを気が付いたら16年くらいやっていたのだが、もうすぐサービスを終了するというので、いろいろ(というほどいろいろでもないが)調べた挙句、この「はてなブログ」に過去記事を移転するこ…

輪廻

プリンスはマイテとの間の亡くなった子についての多くの曲を書いた。 その一つが「Comeback」という曲で、それは「アミールの父親の声」だとマイテは感じている。 戻ってくる / プリンス・ロジャー・ネルソン 昼下がり、階段を上がっていると 優しい風が吹…

Mayte Garcia回想録(9)

2016年1月、マイテは風の噂に、プリンスの具合がよくないと聞いた。心配する周囲の人々を遠ざけているとも聞いた。 マイテは、共通の友人であるニコラス・ランディーを通して、彼の様子を直接見に行ってもいいか、そしてジーアを連れて行ってもいいかどうか…

Mayte Garcia回想録(8)

2011年に、アメリカのテレビ番組『Hollywood Exes』のレギュラー出演の仕事が決まった。それはリアリティー・ショーで、セレブの元妻を追いかけるという趣向の人気番組だった。Rケリーの元妻なども出演していた。 その仕事は、当時「多発性硬化症(MS)」と…

Mayte Garcia回想録(7)

トミー・リーは魅力的な人だったが、前妻(パメラ・アンダーソン)との間に二人の子供がいて、仲良くやっていた。マイテはまだ自分の子供を欲していて、それが再婚を思い留まらせた。別れは悲しかったが、今でも良き友人同士で、プリンスが亡くなったときに…

Mayte Garcia回想録(6)

プリンスは1998年12月、スペインでマイテと二人で臨んだ記者会見の中で、「マイテとの結婚を無効にする」と一方的に宣言した。 事前に何も知らされていなかったマイテには青天の霹靂であった。もはや二人の関係が冷めてしまっていることは否定できないにせよ…

Mayte Garcia回想録(5)

マイテの回想録の「あとがき」には、ドラマチックにするために会話やシチュエーションを再構築した部分があると断りがあるので、彼女の回想は厳密な事実関係とはズレがあるかもしれない。 たとえば、マイテはプリンスが『エマンシペーション』のプロモーショ…

Mayte Garcia回想録(4)

プリンスは新作『エマンシペーション(解放)』のプロモーション活動をしなければならなかった。プリンスが今晩行われる彼のコンサートのために出かけると、がらんとした家で、マイテは死ぬことを考えた。 耐え難い痛みと高熱のために、医者を呼んだ。伝染病…

Mayte Garcia回想録(3)

医学書によれば、ファイファー(Pfeiffer)症候群2型とは遺伝子的病気であり、先天的な頭蓋骨や顔面骨(基本的に下顎を除く)の形成異常(クローバー型とも言われる)がおこり、脳の発達が妨げられたり、眼球が突出したり、呼吸障害が伴う。また手および足…

Mayte Garcia回想録(2)

マイテの回想録によれば、プリンスはしばしばマイテに催眠術をかけて、トランス状態になったマイテと会話していたという。もちろんマイテもそれを望んでのことだ。スピリチュアルにハマっていたプリンスは、マイテが前世でエジプトの王女で、前世の自分と関…

Mayte Garcia回想録(1)

年に何度かプリンスを聴きたくなる時期があって、その時にはプリンスしか聴けなくなる。それ以外の時にはプリンスだけは聴かない。プレイリストにプリンスの曲は混ぜない。 よくプリンス入門には何を聴けばよいのかとか、「はじめてのプリンス」などを謳った…

Piano & a Microphone~Final Show~Atlanta Show 2~April 14, 2016

明け方の中途半端な時間に目が覚めたので、ようつべに上がっている最後のツアー(『ピアノ・アンド・ア・マイクロフォン』)の音源をiPadにイヤホンを差し込んで聞いた。 生前最後の演奏となったアトランタ公演のショー第二部と、ペイズリーパークにおける『…

PURPLE RAIN ORIGINAL

『プリンス回顧録』には、1982年頃にプリンスが書いた映画『パープル・レイン』の手書き草稿が載っている。 『1999』がヒットしていた頃で、その時点ではまだ「パープル・レイン」という曲はできていなかった。 この草稿に書かれたストーリーは、完成した映…

There's Others Here With Us

プリンスの死因は、よく知られているように、オピオイド系鎮痛剤フェンタニルfentanylの過剰摂取であった。フェンタニルは劇薬であり、ヘロインの50倍の強度を持つ。医師の処方がなければ入手できないが、偽造錠剤の形で違法なルートで取引されている。 彼の…

The Beautiful Ones

プリンスの自伝『The Beautiful Ones』を読み始める。 ちょうど2016年4月16日の、アトランタでの緊急搬送事件の直後の話から始まっていて、並行して読んでいる捜査報告書の内容と併せると彼のこの頃の心情が朧げに伝わってくる気がする。 捜査報告書の方は、…

The Death of Prince Rogers Nelson: An Investigation

通勤の行き帰りにiPadのkindleでAmazonアンリミテッド(1か月無料お試し)で見つけた『The Death of Prince Rogers Nelson: An Investigation』 (Jay Corn)という本を読んでいる。 プリンスの死亡を巡る警察の捜査資料が2年後に開示されたのを受け、具体…

妄想電波(10)

はい、こんばんは。いつものように全国ゼロ局ネットでお送りします、新年初の妄想電波になります。 昨年出版された『プリンス録音術』と『プリンスと日本』というプリンス関係の本を読んでいましたら、急にテンションが上がってきまして、個人的な思いを吐き…

サイン・オブ・ザ・タイムス

ロックの名盤シリーズの一冊、『サイン・オブ・ザ・タイムズ』(ミケランジェロ・マトス著、石本哲子訳、水声社)を読む。 ミネアポリスで生まれ育ち、プリンスが『サイン・オブ・ザ・タイムズ』を発表した年(1987年)には13歳だった著者による評論本。 …

If He Was Your Girlfriend

彼は私が世界で一番好きなギタープレイヤーだった。だから彼に恋したの。「サイン・オブ・ザ・タイムズ」のツアーで『パープル・レイン』をやってた時だったわ。私は目を閉じ、至福に浸って泣きそうになるほどだった。目を開けると、結婚しないかって言われ…

僕のギターが咽び泣く

2004年のロックンロール・ホール・オブ・フェイムでの、伝説的なジョージ・ハリスン追悼パフォーマンスについてのニューヨークタイムスの記事より。 ジョエル・ギャレン(ロックンロール・ホール・オブ・フェイムのプロデューサー兼ディレクター):プリンス…

鳩が泣く

『パープル・レイン』という映画については一冊の本が書かれているくらいだが、この映画が感動的なのは、主人公キッドの孤独と野心と愛と痛みが、プリンス本人のそれと重なっているからだろうと思う。 演技の中に<生モノ>としてのプリンスがはみ出してしま…

四月の雪

もうすぐプリンスが逝って1年経つのか。 今年の四月はもう雪は降りそうにないね。先週くらいまでは寒かったけれど。 Sometimes It Snows In April/Prince トレイシーは長い内戦が終わってすぐに死んだ 僕が彼の最期の涙を拭き取った直後に 彼は昔より幸せ…

現代思想「総特集プリンス 1958-2016」

書店で見つけて、若干の躊躇いの後に購入。 同誌のマイケル・ジャクソン追悼特集はむしろすすんで購入した(そして後悔した)のに、プリンスのものを買うのに抵抗感があったのは、まだ彼の死を現実のものとして受け入れたくないという心理が働いていたためで…

あなたのいない世界には私もいない

昨夜のNHK FM「ワールドロックナウ」は、DJ渋谷陽一氏によるプリンス追悼特集。 選曲は以下の通り。 AROUND THE WORLD IN A DAY // PRINCE AND THE REVOLUTION ALPHABET ST. // PRINCE NOTHING COMPARES 2 U (LIVE) // PRINCE KISS // PRINCE AND THE…

ベビーメタルを巡って?

今英国や米国でブレイクしている日本のヘビメタ・バンド「ベビーメタル」に対して、音楽評論家のピーター・バラカン氏が「あんなまがい物が評価されるのは残念」的なコメントをしたために、熱心なファンから非難の嵐だという、ほのぼのした話題がネットを騒…

I See You Never

Affirmation number one, there are no such words as me or mine. Words of this nature were introduced into society as a control mechanism which systematically first divided the subjects individually and then as a collective. 確言1 「私」と…

マイルス&プリンス

晩年のマイルス・デイビスがプリンスを高く評価していたことは有名だが、実際に共演したこともあった。 プリンスの居所でもあるペイズリー・パークの1987〜1988の年越しステージにマイルスが飛び入りしたビデオが残っている。 当時は『サイン・オブ・ザ・タ…

プリンスとマイケル・ジャクソン

プリンスといっても,マイケルの子供のことではない。 80年代にマイケルと並んでブラック・ミュージックとロックの垣根を取っ払った革命児,プリンス・ロジャー・ネルソンのことである。 1982年から83年にかけてチャートを席巻したMJの「スリラー」の直後…