INSTANT KARMA

We All Shine On

高峰秀子

二筋道

デコちゃん生誕百年記念の年ということで、公式の方ではやらない一面を掘っていくという性格の悪いブログ。 何度も書いている通り、高峰秀子は『綴り方教室』や『馬』の撮影を通して、黒澤明(当時は山本嘉次郎の撮影助手)と恋仲になった。 時にクロ30歳、…

The Horse

山本嘉次郎監督 高峰秀子主演 映画『馬』(東宝、1941年)を観てきた。 演出助手を務めたのは若き黒澤明で、高峰主演の『綴り方教室』(1937年)でも一緒になっている。このとき黒澤は黒い絹糸で器用に「蚊」を作り、高峰の手の甲に載せるという演出をして13…

DECOISM

昨日からずっと頭の片隅にぼんやりと高峰秀子がいて、夢の中の対話のようなことをしている。 それは全然気持ちの良い体験ではない。なぜならこの人はとてもおっかないからだ。 先日養女の斎藤明美から物凄いドスの効いた毒舌を聞かされたトラウマもまだ残っ…

Non Patient Lady

午前中は録画した映画『永遠の人』を見る。木下恵介監督の独自のセンスのフラメンコと、安部慎一の漫画の登場人物を思わせる仲代達也の眼と、高峰秀子の石のような女の演技に魅入られてラストまで目が離せなかった。 初夏のような陽気になった午後、息子と二…

樋口一葉・おそるべき高峰秀子

朝起きて天気も良かったので、近所の小さな映画館に、高峰秀子の出演作『樋口一葉』(監督・並木鏡太郎、昭和14年)を観に行ってみた。 サービスデーの水曜日で祝日だったこともあってか、空いてるだろうとタカをくくっていたのだが豈はからんや、切符売り場…

価値と評価

市井の片隅に生まれ、そだち、子を生み、生活し、老いて死ぬといった生涯をくりかえした無数の人物は、千年に一度しかこの世にあらわれない人物の価値とまったく同じである。 「カール・マルクス」『吉本隆明全著作集12』より 高峰秀子の養女になった斎藤明…

作文の書き方教室

近所で高峰秀子主演の『綴方教室』(1938年)が掛っていたので観に行った。 今年は高峰秀子の生誕100周年にあたるということで、各地でさまざまな催し物が企画されていて、これもその一環のようだ。 高峰本人は自伝(「わたしの渡世日記」)の中でこの作品に…

B.V.D (Black Valley Deco)

山本嘉次郎監督の下で助監督を務めていた黒澤明が子役スターでアイドルだった高峰秀子(デコ)と初めて仕事をしたのは彼女が16歳のときだった。 「綴方教室」というその作品の撮影で、デコが綴り方を書いてる時、手に蚊が止まるシーンがあった。黒澤が、絹…

人間鑑定図

高峰秀子著『にんげん蚤の市』収録「人間鑑定図」より ある日のせりに、俗にお歯黒壺と呼ばれる越前の壺が出た。丹波、信楽(しがらき)など、ゴツゴツとした土(つち)ものにはあまり縁のない私だけれど、そのお歯黒壺は珍しく小型でコロリと丸く、生意気に…

Rough Life

今月は、徳田秋声『あらくれ』と『仮想人物』を読んだ。徳田秋声は著作権が切れているので、無料で電子書籍をダウンロードできる。だが、『あらくれ』は最近、岩波文庫から新刊で出て、解説を佐伯一麦が書いているので、それを買って読んだ。やはりkindleよ…

高峰秀子語録

高峰秀子の言葉(Bot)より。 私には、身内から戦死者を出した経験はないけれど、私のブロマイドを抱いて、たくさんの兵士が北の戦地を駆けめぐり、南の海に果てたことを知っている。 シナ事変から大東亜戦争の終わりまでの間に、私は何百通、何千通の手…

浮雲

日本映画専門チャンネルで「吉永小百合が選ぶ日本映画特集」ということで、成瀬巳喜男監督の『浮雲』を放映していたのを見た。 映画自体は暗い話だが、高峰秀子の輝きに惹きつけられて最後まで見た。 主演男優の森雅之は、いかにも私小説文学の主役が似合い…