INSTANT KARMA

We All Shine On

映画・ドラマ関係

2018.12.30

朝4時に目が覚めて、菊地成孔『粋な夜電波』最終回を聴く。 荒野に叫ぶ預言者の声がひとつ消えた。 サロメの一言で斬首された洗礼者ヨハネを想起させる。 その後、朝に独りで、菊地成孔が絶賛していた韓国映画『お嬢さん』を録画していたのを見る。 これは…

寝ても覚めても

以前ブログで書いた『ハッピーアワー』や『親密さ』などの濱口竜介監督の新作、『寝ても覚めても』を観に行ってきた。 これまで見た作品では、プロよりは素人に近い俳優を使って、自分で書いた脚本のテキストを生かすような作り方をしていた印象があるので、…

your name

『秒速5センチメートル』で新海誠の才能はすごい、と思ったのだが、これは僕的にはアウト。 いくら興行成績500億行こうと1000万人動員しようと駄目なものはダメ。 もちろん「僕的には」なので、感動している人たちにケチをつけるつもりは毛頭ない。 …

明けました

大晦日と元旦にTBSで2016年に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の一挙放送をしていて、放送時には最後の2回しか見なかったので、今回改めて通して観た。 不覚にも何度か涙する。 個人的には『結婚できない男』以来の良ドラマだった。 あれ…

Memoria

日暮里のSCAI THE BATHHOUSEという場所で開かれているアピチャッポン・ウィラーセタクンの展覧会「メモリア」を見てきた。 クシャクシャした日常の些末で陰惨な思考に囚われた頭のまま向かったのだが、小さな会場の中に入った途端、思考が停止して日常とは別…

特別な一日

久しぶりに心が震える映画を見た。CSで朝テレビをつけたら偶々放送していた。 画面に釘付けになって、途中から慌てて録画した。 こんなに強烈な映画を観たのは久しぶりで衝撃のあまり動揺しっぱなしだった。 生活に疲れた主婦役のソフィア・ローレンが、男…

ブンミおじさんの森

世界はより小さく、より西洋的に、ハリウッド的になっている。でもこの映画には、私が見たこともないファンタジーがあった。それは美しく、まるで不思議な夢を見ているようだった。僕たちはいつも映画にサプライズを求めている。この映画は、まさにそのサプ…

バンコクナイツ(2)

今回はネタバレ含むので未見の方はご注意 昨日のブログで映画『バンコクナイツ』について身も蓋もない否定的意見を書いてしまった後で、ネット上でこの映画に関するレビューをいろいろと読んでみたが、当初の感想を変える必要は感じていない。 ただ「空族」…

バンコク・ナイツ

テアトル新宿で上映中の映画『バンコク・ナイツ』を観てきた。 休日ということもあってか席はほとんど埋まっていた。直前に当日券を購入して幸運にも空いていたいい位置の席で見れた。 映画についての予備知識はほとんどなく、(1)映画「サウダーヂ」の監…

SNSと表現~ラ・ラ・ランド評をめぐって

菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね セッション評でひと騒ぎ起こした菊地成孔氏がまた挑発的なレビューを書いて話題になっている。 彼の饒舌で胡散臭い文体(褒め言葉)に免疫のない人に…

Non-Cinema ~アピチャッポン・ウィーラセタクン ──光と記憶のアーティスト

ここ数年の間に、タイは次第に政治的な無秩序状態に陥ろうとしている。わたしは密かに、この国が滅びることを望んでいる。一度、みずからを破壊することによって、わたしたちは異なる存在へと変化し、新たに生まれ変わることができる――これは、ごく自然なこ…

東京は春を思わせるような良い天気の中、家から出ずにアピチャッポン・ウィーラセタクン『世紀の光/光りの墓』ブルーレイを見て過ごす(途中昼寝あり)。 どちらも柔らかくのどかといえばのどか、美しく夢のような映像、と言えばそうなのだが、軍事政権に対…

ルブリョフ

念願叶って、タルコフスキー特集『アンドレイ・ルブリョフ』鑑賞せり。 ゼイタクな時間也。

この世界の片隅に(10)

『この世界の片隅に』の海外での上映が始まる。 日本でもまだ勢いが止まらない状況が続いているが、この映画が海外の国々でどんな風に見られるのかに興味がある。 というのは、日本人である僕は、この映画の「日本的抒情性」とでも言うべきものに飲み込まれ…

『ヤクザと憲法』に想う

『ヤクザと憲法』(2016年、東海テレビ) 年末にCSで放送していた。TV初ということで、貴重なオンエアだったが、これもハードディスクの交換と共に消えてしまうので、今のうちに感想だけ記しておく。 東海テレビ・ドキュメンタリー取材班が制作した…

親密さ(2)

第一部の終わりに、衛と令子が歩きながら、令子が暗唱する衛の詩。この場面以外にも、何か所かで断片的に出てくる。 言葉のダイヤグラム 言葉は想像力を運ぶ電車です 日本中どこまでも想像力を運ぶ「私たち」という路線図 一個の私は想像力が乗り降りする一…

親密さ

『ハッピーアワー』の濱口竜介監督の『親密さ』(2012年)を録画して観た。 なんと現段階でソフト化の予定なしとのことなので、これから観る機会はほとんどなくなってしまうことになる。観れたのはラッキーだったが、不運なことに、わが家のブルーレイ付ハー…

ビボーロク(濱口竜介監督)

昨日書いた映画「ハッピーアワー」に続いて、同じ濱口竜介監督の作品「親密さ」をケーブルテレビで録画したので、少しづつ見ている。 少しづつというのは、この映画も全部で4時間以上あり、一度に見る時間が取れないので、見れるときに少しづつ見ている。 で…

Happy Hour

2015年12月に公開され、ロカルノ国際映画祭で受賞するなどして話題になった映画『ハッピーアワー』がCSで放送されていたので録画して見た。 以前菊地成孔氏の映画評を読んで、ヤバそうな映画なので見てみたいと思っていたが、劇場で見る機会には恵まれなか…

高峰秀子語録

高峰秀子の言葉(Bot)より。 私には、身内から戦死者を出した経験はないけれど、私のブロマイドを抱いて、たくさんの兵士が北の戦地を駆けめぐり、南の海に果てたことを知っている。 シナ事変から大東亜戦争の終わりまでの間に、私は何百通、何千通の手…

渥美清と俳句

大掃除を眺めている最中にテレビをつけていたらたまたま流れていた、BSで放送していた、渥美清のドキュメンタリーが大層よかった。 渥美は45歳のときに、永六輔の誘いで句会に参加するようになり、「風天」という俳号で、死ぬまでに270句を詠んだとい…

この世界の片隅に(3)

※今回はネタバレ全開なので未見の方は要注意のこと この映画は今や口コミやSNSで火がついて大変なことになっているみたいだ。 まあそれだけの力を宿した作品であることは間違いないだろう。 こうの史代による原作漫画を読み、改めて思ったことなど。 この…

『道』という体感映画

「フェデリコ・フェリーニの映画を見ることは感覚にとって大変なごちそうです。」 ――ジョン・レノン この映画を見るときに自分が体験するのは、ジェルソミーナが家族の生計のために得体の知れない旅芸人(ザンパノ)に二束三文で売られていく冒頭場面から静…

シン・ゴジラ感想

息子と2人で今話題の映画『シン・ゴジラ』を見に行った。 公開前から各所で絶賛の声が上がっていることは知っていたので、特撮映画やアニメ(監督は「エヴァンゲリオン」の庵野秀明)に関心が無くても見ておいた方がいいのだろうな、と思ったからだ。 映画…

映画「FAKE」(森達也監督、2016年)感想(ネタバレ)

そろそろ感想を書いてもいい頃かなと思って。 これから見ようと思っている人で、ネタバレの嫌な人は読まない方がいいと思います。 すでにいろんな人がいろんな感想をいろんな所で述べているので、いまさら付け加えることもないという、前にも書いた覚えのあ…

光りの墓

以前、「世紀の光」という映画を見た、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の最新作「光りの墓」(Cemetery of Splendour)を見た。 文字通り「夢のような映画」だったので、記憶が消えないうちに備忘録的なメモを記す。 (万一これから見るという方がいれ…

Begin Again

オリジナル・サウンドトラック 映画『はじまりのうた(原題「Begin Again」)』を近所で上映していたので見に行った。 これも菊地成孔氏が激賞していたもので、彼は「開始15分から終わるまで涙止まらな」かったと語っていた。音楽プロデューサーという氏の個人的属性とい…

Cu-Bop

映画『Cu-Bop CUBA〜New York music documentary』を近所で上映していたので見に行った。 映画の中で説明がほとんど行われないため、あらかじめHPなどである程度背景やストーリーを押さえてから見に行く方が良いと思った(自分は菊地成孔氏のラジオやブロ…

世紀の光

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督のタイ映画『世紀の光』(Syndromes And A Century)という作品を見た。 プンミおじさんの森 という作品で2010年カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)を受賞している。 ほとんどまったく予備知識なしに、渋谷に行っ…

セッション(WHIPLASH)

少し話題になっているのを耳にしたことがある映画『セッション』(原題 WHIPLASH)というのを観に行ってきた。 一言でまとめると、「スポ根ジャズもの」というジャンルに属する映画(どんなジャンルだよ)。 この映画に関しては、ジャズ・ミュージシャンで評…