INSTANT KARMA

We All Shine On

エミール

ルソー「エミール上・中・下」(岩波文庫)一気読み。 さすがに疲れた。 初めて読むつもりだったが、昔一度読んだときの線がいっぱい引いてあった。読んだ記憶は全くない。 第5編の、ソフィーとエミールの出会いのくだりは読みながらボロ泣きしてしまう。 悲…

隆明、ばなな、陽一

暑くて家のエアコンが故障して死にそうだったが(修理に来るのは月末)散髪に行ったついでにブックオフに行ったら『吉本隆明×吉本ばなな」(ロッキング・オン)が1050円(消費税別)で売っていたのでゲット。 前からこの本が読みたかったのは、先日買って読…

ふたご理論

「すばる」2024年6月号に掲載された二瓶哲也「ふたご理論」を読む。 ずっと読みたかったのだが、「すばる」の当該号が図書館で貸出し中になっていて、このたびようやく読めた。 二瓶哲也の小説は、これまで「ヒマラヤの年輪」「宮水をめぐる便り」「それだけ…

狂女、純情す

文學界の最新号に掲載されている戸川純の小説「狂女、純情す」を読む。 戸川純については音楽もほとんど聴いていないしテレビによく出ていた頃に見ていた程度。それでもあの独特のオーラから放たれるイメージは尊敬の対象でしかなく、もはや歴史上の人物だと…

変身

先日カフカの『変身』を通読したが、やはりダウンタウンのコント『トカゲのおっさん』を思い出してしまった。 youtu.be 少年:あれどこ行っちゃったんだろう? おじさーん おじさーん トカゲのおっさん登場 少年:ごめんね遅くなっちゃって。あ、これ食べて …

Der Process

恥ずかしながらこの歳になって初めてカフカを読んだ。 別に自分は批評家でも作家でもないから不勉強を恥じる必要はないのだが、人前で「カフカを読んだことがありません」と表明するのは躊躇いを感じるくらい、20世紀の古典であり文学に関心があるなら絶対に…

カフカ年譜

1883年(明治16年) 7.3 当時オーストリア帝国領であったプラーク(現在のチェコ首都プラハ)に生まれる。一家はチェコ土着のドイツ語を使うユダヤ系商人。 父ヘルマン・カフカはシュトラコニッツ在の小村に生まれ、奮闘してプラークで手広く小間物卸商を営…

Artificial Beauty

「もう来られないんだ」 「もう来られないの」 「悲しいかい」 「悲しいわ」 「本当はそうじゃないんだろう」 「本当はそうじゃないの」 「きみぐらい冷たい人はいないね」 「あたしぐらい冷たい人はいないの」 「殺してやろうか」 「殺してちょうだい」 星…

Rock Climbing

購入。 絶えず本を読み続けていないと人生の深淵に真っ逆さまに滑落してしまうのを恐れている。読む本は、手探りの中で何か「引っかかり」を感じたものを掴んで、それから次の「引っかかり」に手を伸ばして絶壁を進んでいくという。自分で「ロッククライミン…

ドリナの橋

忘却というものはどんな傷口もふさいでくれる。そうして歌は忘却のもっとも美しい表現である。歌のなかで人が思い出すのは、自分の愛するものだけだからだ。 イヴォ・アンドリッチ『ドリナの橋』第5章 イヴォ・アンドリッチ『ドリナの橋』(松谷 健二訳、恒…

ヒプノ星人

柄谷行人の「頭がおかしくなっていた」頃のエッセイに「ある催眠術師」(「文学界」1981年9月号)というのがあり、『隠喩としての建築』(講談社、1983)に収録されているが、1989年の講談社学術文庫版からは削除されている。 ここで柄谷は、十何年前に催眠…

柄谷行人の何が?

柄谷行人『マルクスその可能性の中心』、『日本近代文学の起源 原本』 (講談社文芸文庫)を週末に読む。 どちらも思想書、哲学書ではなく「批評」という言葉が一番しっくりくる。日本における〈批評〉というのはこういうもののことで、たしかに小林秀雄、吉本…

DENKI

ブログのアクセス数が減っている。teacupでやっている頃は日に平均20くらいだったのが、はてなに移行してから、ネットサーフする人の目に触れる機会が増えたのか、徐々に増えて4~50くらいになった。著名人をネタにした記事などは100を超えるときもあった。…

性愛と青春の哲学

千葉雅也『デッドライン』読了(再読)。 第162回(2020年上期)芥川賞候補となったときの選評より: 山田詠美(女60歳)○ 「性愛にいちいち哲学を持ち出す面倒臭い男だなあ、と思うことも含めて、リアリティに満ちていると感心した。」「これは、セクシャル…

Coz He was Takaaki (Ryumei)

戦後、ただ一人の革命的(革命派的ではない)文学者太宰治は、「かくめい」について自殺の年にこうかいた。 じぶんで、したことは、そのやうに、はつきり言はなければ、かくめいも何も、おこなわれません。じぶんで、さうしても、他のおこなひをしたく思つて…

Against Forgetfulness

ここ最近読んだものについて感想を書き留めておく(どんどん物忘れが酷くなって読んだものを片っ端から忘れてしまうので)。 * * * 東浩紀がやっていた『思想地図β』の2011年春号に掲載されている菊地成孔と佐々木敦と渋谷慶一郎の座談会「テクノロジーと…

quantum families

ぼくは考えた。ひとの生は、なしとげたこと、これからなしとげられるであろうことだけではなく、決してなしとげなかったが、しかしなしとげられる《かもしれなかった》ことにも満たされている。生きるとは、なしとげられるはずのことの一部をなしとげたこと…

あまりに文学的な

東浩紀「訂正可能性の哲学」 (ゲンロン叢書)を買った。 新宿の紀伊国屋で買ったのだが、数か月前に同店に行ったときは目立つ場所に大量に積まれていて緑の表紙が嫌でも目に付いたのだが、 昨日同店に行ったら、1階ですぐに見つかると思ったらなかなか見たあ…

ドストエフスキーの「最後の主体」

東浩紀の「観光客の哲学」が素晴らしかったので、「訂正可能性の哲学」も買うことにして、4月18日の吉田豪とのイベントもオンライン観覧を申し込んだ。 twitcasting.tv 18日までに「訂正可能性」を読んでおきたい。 (吉田豪の「聞く力FINAL」はもう読…

Volonté Générale 2.0

東浩紀『一般意志2.0』(講談社、2011年)を読む。 ルソーが『社会契約論』で述べる一般意志(東のいう「一般意志1.0」)というものをGoogleに代表されるメガデータベースの観点からバージョンアップし、そこに「無意識の欲望」という形でフロイトを絡める議…

Structure et Force

良きギャンブラーは良き遊戯者の資格をそなえている・・・悪しきギャンブラーは何度も骰子をふることによって望みの目を出そうとする。そのことによって骰子ふりを未来の目的に従属させ、偶然性を蓋然性に変えてしまうのだ。それに反して、良きギャンブラー…

小林秀雄のベルクソン論(「感想」)3

あんまり続けるのもなんだから、今回でいったん終わりにする。 小林は、昨日書いた「蛍になったおっかさん」を見て二か月ほどして、また不思議な経験をする。「ベルクソン論」(「感想」)の冒頭に出てくる二つ目の挿話がこれである。 或る夜、晩(おそ)く…

小林秀雄のベルクソン論(「感想」)2

小林秀雄のベルクソン論は、こんな風に始まる。 (なお、小林は「ベルグソン」と表記しているが、今の表記に倣ってこの中では「ベルクソン」とする。) 終戦の翌年、母が死んだ。母の死は、非常に私の心にこたへた。それに比べると、戦争という大事件は、言…

小林秀雄のベルクソン論(「感想」)

ようやく読んだ。 ベルクソンを読み始めたのは、小林秀雄がベルクソンに影響を受けていたことを知っていたからであり、小林秀雄のベルクソン論を読みたかったからである。 小林自身は、昭和33年、56歳の時に『新潮』に「感想」という表題の下に連載したこの…

ヴェニスに狂す

フリードリヒ・ニーチェ ヴェニス (生野幸吉訳) 橋のたもとに私はたたずんだ、 先ごろ、とびいろの夜に。 遠くから唄声がきこえてきた。 金いろの雫となって唄は湧き、 ふるえる水面をわたり、去った。 ゴンドラの群れ、ともし灯、 そして音楽--- よいしれ…

N/M/N/K

先週末、"Hair Stylistics For SALE” Masaya Nakahara Collection Garage Sale が行われ、その際に以下のアナウンスがあった。 (以下XのアカウントV.I.N.Cent Radio@VincentRadioより転載) 1月に中原昌也さんが倒れたくさんの支援が立ち上がりました。 わ…

「みどりいせき」(閲覧注意)

※大田ステファニー歓人『みどりいせき』の内容の詳細に触れますので、未読の方はご注意ください。 2月に単行本が出るので、それを読んでからの方がいいと思います。 どんな感じって言われてもこんな感じとか伝えづらいから書くのをためらってるうちに今日が…

「みどりいせき」感想(ネタバレなし)

第47回すばる文学賞受賞作 大田ステファニー歓人「みどりいせき」 読んだ。 最初の数頁で挫折しそうになったが、途中からはぐいぐいと引き込まれ、 最後の頁では号泣。 ネタバレたっぷりの感想は改めて。

トマス・ピンチョンがダメだった理由(わけ)

図書館でトマス・ピンチョンの本を借りて読もうとしたが、まるでダメだった。 「スロー・ラーナー」 (ちくま文庫) 「V.〈上・下〉」(新潮社) 「競売ナンバー49の叫び」 (ちくま文庫) 「重力の虹〈上・下〉」(新潮社) どれも最後まで読み通すことができず…

無くて七草

図書館でトマス・ピンチョンの本を借りてきて読む。 やたら名前だけはよく目にするのだが読んだことがなかったので。 新潮社から出ている全集の『V.』を読み始めるが、途中でテクニカルノックアウト。 「難解」というのではなく、単についていけない。笑える…